"捨てられた妻の逆転相続" 第10話
恵子はウッドデッキのベンチに腰をろし、夜空を見げた。
満の々の、かつて自分を縛り付けていた憎しみやしみは、完全に昇華されていた。
夫の俊は今、方の寂れた町で、自らの傲さが招いた孤独と向きいながら、にまみれてきている。息子の翔太もまた、親の庇護を失った過酷な現で、のとして自するための痛みに耐えている。
彼らに対して、もはやりのは湧いてこない。ただ、彼ら自が自らの罪を自覚し、命ある限り、としての誠実さを取り戻してくれることを願うのみだった。
「お義母様……見ていてくださっていますか」
恵子は胸元にを当て、夜に向かって語りかけた。
が吹き抜け、庭の々がサワサワとよい音をてる。まるで、静が「ええ、見ていますよ。よく頑張りましたね」と優しく微笑みかけてくれているかのようだった。
は、誰かのために尽くした真を、決して無駄にすることはできない。
たとえどれほど理尽な悪に晒され、踏みにじられようとも、誠実にき抜いたの魂には、必ず最に本物のが差し込むのだ。
加納恵子はゆっくりとちがり、く澄んだ夜の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
もまた、助けを求める々のために扉をき、温かい事を用し、を差し伸べるしいが始まる。
その歩みには、切の迷いも恐れもなかった。彼女の胸には、義母から受け継いだ揺るぎない信頼の灯が、永に消えることのない標として、るく力く輝き続けていた。