"家賃55万の置き土産" 第9話
義母は何も言えなかった。
私は慎也へ婚届をした。
「今はかなくていい。専を通すから、これからはそちらへ連絡してください」
慎也がい声で言った。
「本当に終わらせるのか」
私は夫を見た。
で。
優しくて。
このなら。
。
緒にいられる。
そう信じた。
だった。
「終わらせたのは私じゃないよ」
それだけ答えた。
私は鞄を持ってちがった。
義母も咲斗も。
もう。
引き止めなかった。
玄関をる直。
背から。
みちるさんの。
泣きそうな声が。
聞こえた。
「咲斗、本当にどうするの……?」
その答えを。
私は聞かずに。
扉を閉めた。
私が正式に婚協議へ入ってから、マンションに残された4の活は像以にくき詰まった。賃55万円に加え、管理費や駐代、費まで含めれば毎の固定費はかなりきい。慎也の現の収入だけで活費と賃を同に支えることは難しく、咲斗の取り14万円をしたところでく維持できる額ではなかった。
それまで私が負担していた賃については、翌以当然支払わなかった。契約名義は慎也だったため、私が退しても賃貸契約そのものが自に終するわけではない。慎也は慌てて管理会社へ連絡し、違約や退を確認しながら、より賃のい物件を探し始めた。
その頃、みちるさんから度だけ話が来た。
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「突然すみません。私、何もらなくて……」
声は疲れていた。
私は責めるつもりもなかったため、落ち着いて話を聞いた。
みちるさんは、義母から「このは慎也がずっと払っている」「咲斗夫婦が来れば活費もほとんどかからない」と聞かされていたらしい。産しばらく仕事へ戻れないこともあり、その話を信じて以のアパートを退する準備をめていたという。
「私も、もっとちゃんと確認すればよかったです」
「今は体を番に考えてください」
「……まゆ子さん、ってないんですか?」
し考えてから答えた。
「みちるさんが私にていけと言ったわけじゃないから」
それは本だった。
妊娠の彼女を。
争いへ巻き込みたいとは。
わなかった。
問題を作ったのは。
たちが。
自分に都のいい報だけを。
相へ伝え続けたこと。
だった。
話の最に、みちるさんはもうつ話した。
咲斗とも激しい喧嘩になったという。
「賃も活費も配ないって言ったじゃない」と責めるみちるさんに対し、咲斗は「俺もばあちゃんからそう聞いていた」と答えるしかなかった。自分たちで収支を確認せず、誰かが何とかしてくれる提で活を決めたことを、夫婦そろって悔しているようだった。
数、咲斗夫婦は以んでいた域で、もっとさなアパートを探し始めた。
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義母はく反対したらしい。
「赤ちゃんがまれるのに狭い部へ戻るなんてかわいそうでしょう。ここにいればいいのよ」
ところが咲斗は初めて祖母へ言い返した。
「じゃあ賃55万、ばあちゃんが払えるの?」
義母に収入はしかない。
答えられるはずもない。
「父さんだって無理なんだろ。俺たちも無理。だったらるしかないじゃん」
義母は「まゆ子を呼び戻せばいい」とまで言ったそうだ。
その言葉を聞いた慎也が、さすがにったという。
「追いしたのは母さんだろ」
おそらく。
13で。
初めて。
慎也が。
真正面から。
義母を責めた。
けれど。
私にとっては。
もう。
遅かった。
方、慎也との婚協議は予より淡々とんだ。貞についての資料があり、私の婚も確だったため、慎也も期争うことは得策ではないと判断したようだった。
彼から直接話が来たことが度だけあった。
「まゆ子、しだけ話せないか」
私は迷ったが、専にも確認したうえでだけ応じた。
「真理子とは、もう会ってない」
「そう」
「あのと再婚するつもりだったわけじゃない。のこととか会社のこととか、全部しんどくなってて、話を聞いてもらってるうちに……」
慎也は言葉を選びながら説した。
以の私なら。
「仕事が変だったんだね」
と。
慰めたかもしれない。
でも。
今の私は。
聞けた。
「それで私を裏切っていい理由になるの?」
慎也は黙った。
「私だって変だったよ。