"家賃55万の置き土産" 第5話
翌に対応してくれる業者はにも何社かあった。わせて具やの保管サービス、用品の買い取り、期賃貸なども調べているうちに、しずつが静になっていった。
義母はまでにていけと言った。
ならば、ていけばいい。
ただし。
私のものまで置いていく必はない。
結婚から使っていた具のくはすでに買い替えていたが、その買い替え費用をしたのも私だった。蔵庫、テレビ、洗濯乾燥、子レンジ、炊飯器、掃除、ソファ、ダイニングセット、寝のベッドまで、保証や購入履歴はほぼ私名義で残っている。
そこまで考えただった。
をて駅へ向かおうとすると、ろから若い女性に呼び止められた。
振り向くと、さっき料理を運んでくれた員だった。
「あの、失礼だったら本当にすみません。もしかして、藤崎さんの奥様ですか?」
私はち止まった。
「そうですけど」
女性はひどく迷った顔をした。
それでも最にはを決したように顔をげた。
「ご主、うちで働いてると付きってます」
今度こそ。
のが。
真っになりそうになった。
けれど私は、唇を噛んで女性の話を最まで聞いた。
女性によれば、慎也は今でもその居酒へ頻繁に通っていた。相は厨補助と接客を兼ねて働く真理子という40代半の女性で、慎也が来るは休憩もで話し込み、が終われば緒にていくことが何度もあったという。
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「お客さんのことだから私がをすのも違うとってたんです。でも、さっきスマホの写真が見えて……奥さんだったんだって分かって」
女性は申し訳なさそうにをげた。
「将も分気づいてます。でも、のこともあるから何も言えないんだといます」
私はしばらく何も言えなかった。
しい。
悔しい。
腹たしい。
いろいろなが混ざっていたはずなのに、妙にだけは静だった。
「教えてくれてありがとう」
私がそう言うと、女性はし驚いたようだった。
「もし必なら、私がっている範囲で話します。いつ来ていたかくらいなら覚えてますから」
私たちは連絡先を交換した。
帰りので、私は何度も慎也の番号を見た。
話をかけて問い詰めることもできた。
でも、やめた。
今聞いたところで。
張先だ。
仕事関係だ。
ただのだ。
そう言われれば終わりだ。
それより先に。
自分の活を。
片づける。
に戻ると、義母はすでに眠っているようだった。
私は自へ入り、必な類をつずつ取りした。預通帳、保険証券、薬剤師免許関係の類、源泉徴収票、賃の引き落とし履歴、具の購入細と保証。
慎也と共しているものと、自分だけのものも理した。
結婚して13。
簡単に持ちせるではない。
それでも。
の夜。
ここにいるつもりは。
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もうなかった。
午1を回った頃、引っ越し業者のウェブ受付から翌の緊急便を申し込んだ。担当者から折り返しがあり、荷物量について聞かれた。
「型具はありますか?」
「あります」
「製品も運びますか?」
私はリビングをい浮かべた。
「はい。私が所している具とは全部お願いします」
のため、業者には購入証の確認ができる物だけを対象にしてほしいと伝えた。義母の婚礼箪笥や慎也が独代から持っている棚などは当然そのままにする。
話を切ると、胸の奥が静かになった。
以なら。
義母が活に困るのではないか。
慎也が帰ってきたに驚くのではないか。
そんなことを考えて。
結局半分くらい。
置いていったかもしれない。
でも。
「あなたがいた痕跡まで消えてほしい」
義母はそう言った。
ならば。
望み通り。
私の痕跡は。
きれいに消そう。
翌朝、義母は私を見るなり言った。
「荷物、ちゃんとまとめたの?」
「はい。午に業者が来ます」
「そう。ったより聞き分けがいいのね」
私は笑って何も答えなかった。
14ちょうど。
型トラックがマンションの搬入へ入った。
作業員が台を持って部へがってくると、義母はようやく違を覚えたらしい。
「ずいぶんきなね。あなたの荷物なんてそんなにないでしょう?」
「私が購入した物を全部運んでもらうので」