"家賃55万の置き土産" 第3話
「まゆ子さん、夕飯は?」
「今から作ります」
「随分遅いのね。慎也もそろそろ帰るんじゃない?」
私は着替えるも惜しんでキッチンへった。それまで義母に事作りを任せていたため、料理は得とは言えなかったが、レシピを調べながら毎何とか作った。
しかし義母は、必ずべるたびに何かを言った。
「がいわね」
「を通しすぎよ」
「咲斗にこんなものをべさせなくて本当によかった」
掃除をすれば埃が残っていると言われ、洗濯物を畳めば皺があると指摘された。最には私の実のしつけにまで話が及び、「何をやらせても途半端なのね」とため息をつかれた。
それでも私は耐えた。
咲斗がをたことで寂しいのだろう。
いわゆる空の巣のような状態なのかもしれない。
私に当たることで気持ちが楽になるなら、しばらくはしよう。
そうっていた。
そのを、義母は「何を言っても逆らわない」と受け取っていたのかもしれない。
義母の嫁いびりがさらに激しくなったのは、咲斗からみちるさんの妊娠をらされた頃からだった。初孫だと聞いた瞬、義母は見たことのないほど興奮し、慎也も「俺もとうとうおじいちゃんか」と嬉しそうに笑った。私もと緒にんだが、義母の量だけはらかに違っていた。
みちるさんの実はで1ほどれた所にあり、産に頼れるがないという。
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そのため、咲斗から「こちらで里帰り産のような形にできないか」と相談があり、義母は即答で引き受けた。
「もちろんよ。何かでもいなさい。赤ちゃんのお世話なんて久しぶりだから楽しみだわ」
連絡があった翌から、義母は咲斗が以使っていた部を片づけ始めた。布団を買い替え、カーテンを洗い、赤ちゃん用品のカタログを何冊も取り寄せ、蔵庫には必な物をきしたメモまで貼られた。
当然、その準備には私も巻き込まれた。
「まゆ子さん、咲斗の部は掃除をかけておいたから、窓とを拭いてちょうだい。できればワックスもかけ直した方がいいわ」
仕事から帰った夜に、私はへ膝をついて何度も雑巾をかけた。しでも筋が残っていると義母はやり直しを求め、「赤ちゃんがうかもしれないんだからを抜かないで」と当然のように言った。
休になると、今度は買い物だった。
ベビーベッド、布団、ベビーバス、哺乳瓶の消毒用品、空気清浄、加湿器、類収納、ベビーモニター。みちるさん本がまだ何も選んでいないのに、義母は次々と購入しようとした。
しかも、支払いは私へ回ってきた。
「まゆ子さん、30万円ほどろしてきてくれない? まだ揃えたいものがあるの」
さすがに私は聞き返した。
「またですか? もうかなり買っていますよね。
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みちるさん自が使いたい物もあるとうので、来てから緒に選んだ方がいいんじゃないでしょうか」
義母の表が変わった。
「本当にたいね」
「そういうではありません」
「慎也の孫なのよ。ああ、そうか。あなたは咲斗と血がつながっていないものね。だからどうでもいいんでしょう?」
胸に刺さる言い方だった。
「違います。自分の子どもなら、使う物を自分で選びたいんじゃないかとっただけです」
正論だとじたのか、義母はそれ以言い返さなかった。ただ、悔しそうに私を睨みつけ、そのまま自へ戻っていった。
翌朝になっても義母は嫌を直さなかった。
ちょうど慎也は3の張へる予定で、玄関で靴を履きながら私へ言った。
「頼むから母さんの孫フィーバーにを差さないでくれよ。咲斗がてからずっと元気がなかったんだ。まゆ子も配してただろ?」
「それは分かってる。でも、もうかなりおを使ってるの。こんな調子じゃ、咲斗たちが来る頃には計が変になるよ」
慎也の顔が曇った。
「俺の稼ぎが悪いって言いたいのか?」
「そんなこと言ってないでしょう」
おの話になると、慎也はいつも嫌になった。
その理由を、私は分かっていた。
結婚して13。最初の頃、慎也の収入は分にあり、賃も活費もほとんど彼がしていた。
私の薬剤師としての収入については「好きに使えばいい」