"家賃55万の置き土産" 第2話
慎也と結婚して最初に驚いたのは、義母が像以に物静かなだったことだ。結婚の挨拶に訪れたも品な笑顔で迎えてくれ、「慎也をよろしくお願いします」と丁寧にをげてくれた。これなら同居しても、それなりに距を取りながらやっていけるだろうと私はっていた。
活が始まると、義母は事の分担を自分から提案した。
「事は今まで通り私が作るわ。慎也も帰りが遅いから、べるは別々で構わないでしょう。まゆ子さんには掃除と洗濯をお願いしようかしら」
私は当、ドラッグストアで薬剤師として正社員勤務をしていた。結婚をに勤務を調し、週5のフルタイムパートへ変更したため、帰宅は20になることがかった。それでも夕が用されている活はありがたく、義母に謝していた。
ただ、事を緒にすることはほとんどなかった。
義母と咲斗は先に事を済ませ、慎也の帰宅も遅いので、私は毎晩でテーブルに座った。結婚したのにし寂しいとったこともあるが、いきなり形だけの族を作ろうとしても難しいのだろうと、自分を納得させていた。
番気になっていたのは、咲斗との距だった。
初対面のから、彼は私と目をわせようとしなかった。10歳という齢を考えれば、父親が再婚すること自体に複雑な気持ちがあるのは当然だとい、私は無理に距を詰めなかった。
広告
それでも学事くらいは参加したかった。
同居して半ほど経った頃、咲斗の運会の話を聞き、私は何気なく声をかけた。
「咲斗くん、もうすぐ運会なんでしょう? 私も仕事を休めそうだから、みんなで見にこうか」
咲斗がこちらを向き、何か答えようとした。ところが、その言葉を遮るように義母がを挟んだ。
「運会なら私と慎也でくから、まゆ子さんは気にしなくていいのよ」
「でも、せっかくなので私も――」
「いいの」
義母は笑っていたが、その声音にははっきりと拒絶があった。
「あなたは慎也のお嫁さんでしょう。咲斗の族は今まで通り私と慎也で分なの」
っていた以にい言葉で、私は何も返せなかった。その夜、慎也へ話すと、彼は困ったように笑いながら「母さん、咲斗にべったりだったからな」と言った。
「まゆ子に咲斗を取られるとってるのかもしれない。俺から言っておくよ」
その、慎也が話をしたらしく、学事には私も参加できるようになった。ただ、咲斗とでかけたり、ゆっくり話したりする会はほとんどなかった。何かを話しかけようとすると義母がへ入り、いつのにか会話そのものが終わってしまうことがかったからだ。
になってったことだが、義母は私のいないところで、咲斗にずいぶんひどい話をしていたらしい。
広告
「まゆ子さんは、咲斗がいなくなればパパとで幸せになれるって言ってたのよ」
「子どもができないから、あなたまで邪魔なんでしょうね」
私は度もそんなことを言った覚えがない。
むしろ、自分に子どもを望むことが難しいからこそ、慎也の切な息子を切にしたいとっていた。それなのにな期のへそんな話を吹き込めば、咲斗が私を警戒するのも当然だった。
当の私は、その事実をらなかった。
咲斗がを卒業し、専学へんだ頃には、私たちの関係は「同じに暮らしているしい親戚」のようなところで止まっていた。それでも私は、卒業式へき、就職が決まったには計を贈り、成式には慎也と緒にスーツを選んだ。
咲斗がそのスーツを着て写真を撮った、私は本当に嬉しかった。
スマートフォンの待ち受けには、慎也と咲斗と私の3で写ったその写真をい使っていた。
族になれなかったとはいたくなかった。
ただ、しが必なだけだとっていた。
ところが咲斗が就職して1ほど経ち、交際していたみちるさんと結婚してをると、義母の態度は変した。咲斗というを失った義母は、今まで自分がしていた事をほとんどやらなくなった。
仕事から戻ると、義母は卓に座って私を待っていた。