"母の認知症は芝居だった" 第4話
「かりちゃん」
まやさんが肩へを置いた。
「気を落とさないで。お義母さんが穏やかに暮らせる施設を、緒に探しましょう」
私は涙をこらえて頷いた。
「はい」
翌、私たちは母を連れて施設見学へ向かった。
候補に選んだのは、しくできた規模なグループホームだった。
きな病院のような建物を像していたが、実際は宅にい造りで、玄関を入った瞬から柔らかな雰囲気があった。
「初めまして。お待ちしておりました」
施設は落ち着いた笑顔で私たちを迎えてくれた。
兄が母の子を押し、私とまやさんがろからついていく。
廊はるく、にはほとんど物が置かれていない。共スペースでは数の入居者が職員と話しており、どこか庭な空気が流れていた。
「とても綺麗ですね」
私が言うと、施設は頷いた。
「にたった1つ物が落ちているだけでも、入居者様が転倒する原因になります。面だけでなく、全面にもできる限り気を配っています」
母のように子を使うにとっても、通は分広い。
職員たちも慌ただしくり回るのではなく、ひとりへ声をかけながらいていた。
「お母さん、ここいいところだね」
私が声をかけると、母はゆっくりこちらを見た。
「そうね。亜美と緒で嬉しいわ」
また違えられた。
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けれど私は、今度は訂正しなかった。
「うん。よかったね」
母が笑ったから、それでいいとった。
見学の途、母は職員に誘われて簡単なレクリエーションへ参加することになった。
「お母様はこちらでし過ごしていただきますので、そのにご族様には入居についてご説いたします」
私たちは施設と別へ向かった。
途、母が入居予定となる個も見せてもらった。
広すぎるわけではないが、子でもきやすく、きな窓からはの緑が見える。さなベランダもあり、ここなら母も穏やかに暮らせるかもしれないとった。
「いい部だね」
兄も頷いた。
「母さん、庭見るの好きだったからな」
私はしだけ肩の力を抜いた。
施設へ入れるという選択に罪悪はある。
それでも、ここならば。
そうい始めた直だった。
面談へ入ろうとした私たちのところへ、の介護職員が慌ててってきた。
「施設」
その声はく、切迫していた。
「緊急でお話したいことがあります」
職員は私たちを見た途端、何か言いづらそうに線をそらした。
施設の表から、瞬だけ笑顔が消えた。
「あら、変申し訳ございません」
施設はすぐにいつもの穏やかな表へ戻った。
「し確認しなければならないことがございます。すぐ戻りますので、こちらの類をご覧になっていてください」
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机のへ入居続きに関する資料を置き、介護職員と緒に部をていく。
私はその背を見送った。
ほんの瞬だったが、何かがおかしかった。
あれほど落ち着いて説していた施設が、らかに焦っていた。
「何かあったのかな」
「入居者さんのことじゃないか?」
兄はあまり気にしていない様子で子に座り、類をめくり始めた。
私も隣へ座った。
施設利用料。
費。
管理費。
医療関との連携。
必な額を確認しているうちに、私は決めた。
「入居費用、私が負担するからね」
兄が顔をげる。
「いや、それは」
「いいの。お兄ちゃんとまやさんにはずっとお母さんの世話をしてもらってたんだから」
「あかりちゃん、それは駄目よ」
まやさんもすぐに止めた。
「私たちも半分は負担するわ。族なんだから」
「本当にいいんです」
私は笑った。
「私、おだけはありますから。結婚の予定もないし、今まで何もできなかった分、親孝できるならしておきたいんです」
2は申し訳なさそうに顔を見わせた。
私は本からそうっていた。
もし今、母の認症がさらに悪化し、私の名も顔も完全に忘れてしまったとしても、できる限りのことをしたとえるようにしたい。
母がして暮らせるなら、おは惜しくなかった。
その、ドアがいた。
戻ってきた施設は、先ほどよりさらにい顔をしていた。
額にはく汗が浮かんでいる。
「お待たせして申し訳ございません」
ところが施設は自分の席へ向かわず、まっすぐ私のへ来た。