"私を変えた元嫁" 第1話
「結婚したいがいる」
息子の拓がそう言った、宮本美津は、まず相の族構成を聞いた。齢より先に職業でもなく、どこので育った娘なのかをりたかった。それが自分でも古い考えだということは分かっていたが、京・練馬で60以続く菓子「宮本」の息子が結婚する以、完全に個だけの話にはならないと考えていた。
美津は当58歳だった。夫の隆は5に脳梗塞でくなり、それからは美津がを切り盛りしている。創業者は義父だったが、美津自も結婚以来35以へち、帳簿も仕入れも従業員の採用も、ほとんどで覚えてきた。
拓は32歳。学卒業は品メーカーへ入り、を継ぐをほとんど見せなかった。美津は残ではあったものの、無理に戻すつもりもなく、宮本は自分の代で縮しても仕方がないとい始めていた。
「相は?」
「森川梨奈。28歳」
「何してる?」
「アパレル」
「販売?」
「今は契約社員」
その点で、美津のにさな引っかかりができた。
契約社員だから嫌というわけではない。ただ拓は幼い頃から苦労というものをほとんどらずに育っており、自分と同じように活が定している女性の方がうのではないかとった。
「ご両親は?」
「お母さんだけ。婚してる」
広告
「お父さんとは?」
「ほとんど会ってないらしい」
拓はし苛ったように言った。
「母さん、面接みたいなのやめてくれる?」
「聞いただけでしょう」
「会えば分かるよ」
初めて梨奈が宮本へ来たのは、その週だった。
美津は今でも、玄関で見たの印象を覚えている。
肩よりしい茶の髪。爪にはいピンクのネイルが塗られ、ベージュのワンピースは膝よりしまでしかなかった。靴を脱いだあと、梨奈は揃えることを忘れ、拓にさく注されて慌てて直した。
「初めまして、森川梨奈です」
をげる角度も浅かった。
美津は反射に計を見た。
約束より7分遅れている。
「、混んでた?」
笑顔で聞くと、梨奈は申し訳なさそうに答えた。
「すみません。駅からったよりくて」
徒歩8分である。
しかし美津は何も言わなかった。
夕は美津が用した。
刺。
煮物。
茶碗蒸し。
吸い物。
梨奈は「おいしい」を何度も言ったが、箸の持ち方がし気になった。煮物の里芋を取る、箸を度突き刺しそうになって途でやめたことも、美津は見逃さなかった。
ただ、悪い娘ではなかった。
事が終わると自分から皿を運び、「何か伝います」と台所へ入ってきた。美津が「座ってていいのよ」と言っても、「本当に何もしない方が変なので」と笑い、洗った皿を枚ずつ拭いた。
広告
「お菓子さんって変ですよね」
梨奈は器棚を見ながら言った。
「朝いし」
「のことってるの?」
「拓から聞いてます。私、菓子あんまり詳しくないですけど、見るのは好きです」
「べるのは?」
「甘いの、すごく好きです」
その笑顔は自然だった。
美津はしだった。
もっと気取った娘かとっていた。
帰り際、梨奈は玄関で靴を履いたあと、何かいしたように振り返った。
「今はありがとうございました」
今度は、最初よりくをげた。
美津はそれを見た。
教えればできる。
最初に浮かんだのは、その言葉だった。
その夜、拓が梨奈を駅まで送り、戻ってきたあと、美津は言った。
「素直そうね」
拓の顔がるくなった。
「だろ?」
「ただ、し幼いかな」
「また始まった」
「悪く言ってないでしょう」
美津はお茶を淹れた。
「教えればいいんだから」
拓が眉を寄せた。
「何を?」
「いろいろよ」
「梨奈、やるわけじゃないよ」
「分かってる。でも結婚したら、親戚付きいもあるでしょう。宮本のことだっては伝うことになるかもしれないし」
拓はため息をついた。
「梨奈は梨奈だから」
美津は笑った。
「誰も別にしようなんて言ってないわよ」
本気でそうっていた。
梨奈を変えたいわけではない。
しえてあげればいい。
靴の揃え方。
箸の持ち方。
言葉遣い。
季節の挨拶。
お客様への接し方。
良いところはそのままにして、りないものだけをしてやる。
美津は、自分ならそれができるとった。