"壁の中の13年" 第12話
と話した。夫が庭では普通に笑い、子どもを抱き、誕を祝いながら、過について13言も漏らさなかったからだった。秘密を抱えているが必ず暗い顔をしているとは限らないという事実に、彼女は耐えられなかった。
田があったには、今では昔の面はほとんど残っていない。壁があった位置も、寝がどこだったのかも、当の図面を見なければ分からない。事件をらないにとっては、ただ町のにあるつの商業施設にすぎない。
しかし、美智子の実母は毎117になると墓を訪れた。
娘のための。
そして。
まれることのできなかった孫のための。
さな玩具。
墓では、娘が最に話をくれたの声をいすという。
「もうしでまれるから、落ち着いたら帰るね」
結局、美智子は自分ので実へ帰ることはできなかった。
13。
帰ってきたのは。
壁のから見つかった遺骨だった。
それでも母親は、娘の失踪に終止符が打たれたことだけは受け入れようとした。どこにいるのか分からず待ち続ける苦しみと、くなっていたとる苦しみは違うが、なくとも墓で「おかえり」と言える所ができたからだった。
再捜査を担当した佐々刑事は、退職に事件について尋ねられた際、壁から遺骨が見つかったことよりも、13のさな証言が残っていたことの方が印象かったと話した。
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佐藤さんが見た朝の笑顔、鈴さんが渡した10円玉、吉田さんが見た背のい男、伊藤さんが夜の窓から見たの姿。それぞれは当、事件を解くにはりない断片だった。
ところが13、その断片がつずつを持った。
美智子は突然、痕跡もなく消えたわけではなかった。
話をした。
に会った。
へ戻った。
誰かと言い争った。
そして、そのに起きたことをの兄弟が隠した。
真実が消えたのではない。
が図に覆い隠していただけだった。
だから壁が壊れた、13止まっていたも同にきした。
誠は晩まで美智子の墓へ通い続けた。自分が何度謝っても、妻も子どもも戻らないことは分かっていたが、それでもくことをやめなかった。兄を守ろうとして最も守るべきを失ったという事実だけは、涯、自分のから消してはいけないとっていた。
平成3117。
の妊婦が町から消えた。
平成16420。
古い寝の壁が壊され、その所から13隠されていた事実が現れた。
壁の向こうにあったのは、美智子の遺骨だけではなかった。
救急を呼ばなかった兄の恐怖。
妻より兄を選んだ夫のさ。
族という言葉ので積みなった沈黙。
そして、度でも誰かが正しい方へ踏みしていれば、13も続くことのなかった嘘だった。
町から古いが消えても、そのことだけは記録のに残った。
は真実を壁のへ隠すことはできる。
けれど、隠した瞬に、なかったことにできるわけではない。
いつか壁が壊れた。
そこからてくるのは、過そのものだからだった。