"新郎が消えた結婚式" 第8話
別の女性もをいた。
「私も卒っていう言葉が気になった」
恵理子さんが振り返る。
「うちの弟、体がくて卒業できなかったの。でも今ちゃんと働いてる。卒だからクズって言われたら、弟まで馬鹿にされたみたいで嫌だよ」
「私は智さんに言っただけで、あなたの弟の話じゃ――」
「そういう問題じゃないでしょ」
会の空気が、完全に変わった。
恵理子さんを祝福するために集まったはずのたちが、たい目で彼女を見ていた。
その頃になってようやく、騒ぎを聞きつけた恵理子さんの両親が駆けつけてきた。
「恵理子!」
父親が険しい顔で娘を見た。
「体何があったんだ?」
「お父さん、違うの。これは――」
航太が静かにを挟んだ。
「うちの妹を『毒親の連れ子』『卒のクズ』と言って、式にるなと言われました」
父親の表が止まった。
「……何だって?」
母親も顔を失った。
「恵理子、あなた本当にそんなこと言ったの?」
「だって本当のことでしょ!」
焦った恵理子さんは、とうとう声をげた。
「本当のことを言っただけなのに、どうして私ばっかり責められるの?」
母親が目を見いた。
「本当のことなら、何を言ってもいいって話じゃないでしょう!」
その声は、会に響いた。
「お母さんだって分かるでしょ?」
恵理子さんは必だった。
「結婚式なのよ。会社の偉いも来るし、ちゃんとしたばかりなの。
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郎の妹が卒だってられたら――」
「それで何が困るの?」
母親の声は厳しかった。
「あなたをそんなふうに育てた覚えはないわ」
「でも……」
「学歴や庭環境でを侮辱していいなんて、度でも教えた?」
恵理子さんは黙った。
父親も険しい表をしていた。
私はいたたまれなくなった。
「もう丈夫です」
わずをげた。
「私のことでこんなことになってしまって……」
「智さん」
恵理子さんの母親はすぐ私を見た。
「あなたが謝ることじゃないわ」
「でも」
「本当にごめんなさい」
今度は母親が私へをげた。
その横で父親もくをげる。
私は慌てた。
「やめてください。お2が謝ることじゃありません」
恵理子さんは信じられないという顔をしていた。
自分の両親まで私に謝っている。
それが耐えられないようだった。
「私が謝ればいいんでしょ」
投げやりな声だった。
「ごめんなさい」
それから航太へ顔を向ける。
「これでいい? ちゃんと謝ったから、式続けましょう」
航太は首を横に振った。
「もう遅い」
「何で?」
「謝ったから全部なかったことになるわけじゃない」
「たった言で結婚までやめるの?」
「たった言?」
兄の声がくなった。
「俺には、あれがたった言には聞こえなかった」
初対面のから智を見していた。
今も目がない所を選び、兄がいないとって侮辱した。
兄はそこに図があるとじていた。
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「本音だったから、俺が聞いてないところで言ったんだろ」
「……」
「今謝ってるのも、自分が悪かったとったからじゃない。結婚式を続けたいからだ」
恵理子さんは何も言えなかった。
兄ははっきりと言った。
「俺はこの結婚をにする」
「そんな……」
「それと、今のキャンセルにかかる費用については、そちらで負担してもらいたい」
恵理子さんの顔が歪んだ。
「何で私が?」
「原因を作ったのはおだろ」
「でも式をやめるって決めたのは航太さんじゃない!」
「妹を式から追いそうとしたのはおだ」
「だからって――」
「恵理子」
父親がい声で遮った。
「航太さんの言う通りだ」
「お父さん?」
「キャンセル料は、こちらで負担する」
「何言ってるの?」
「これ以、航太さんと智さんに迷惑をかけるな」
父親は娘をまっすぐ見た。
「今回の件は、おの自業自得だ」
恵理子さんの顔から血の気が引いた。
「今まで事に育ててきたつもりだった」
父親は苦しそうに続けた。
「だが、おがを学歴や庭環境で見すようなになったのなら、私たちにも責任があるのかもしれない」
「……」
「だからこそ、今回のことはきちんと自分で受け止めなさい」
恵理子さんは唇を噛んで俯いた。
それ以、言い返す言葉はなかった。
そのにも、招待客は次々に帰っていった。
部のは兄へ声をかけた。
「落ち着いたらまたもう」
「今は変だったな」
「妹さん、丈夫?」
誰も航太を責めなかった。
むしろ、事をったほど、兄の決断を受け入れているように見えた。