"不機嫌夫の末路" 第6話
何を言っても、しずつ横へずらされていく。
私がじている苦しさそのものには、触れようとしない。
いつもなら、この辺で私は引いていた。
もういい。
また嫌を悪くさせたら面倒だから。
そうって黙っていた。
けれど、このは引くつもりがなかった。
ひなが布団ので言った言葉が、かられなかったからだ。
「今、会社のに聞いたんだけど」
私はゆっくり言った。
「あなたがしてること、フキハラって言うらしいよ。嫌で相をコントロールすること。モラハラの種だって」
の表が変わった。
「はあ?」
眉に皺が寄った。
「モラハラ? 俺が?」
「ひなも怖がってる」
「何が?」
「パパに嫌われたのって聞いてきた」
瞬だけ、が黙った。
けれど次にてきた言葉は、私が期待していたものではなかった。
「げさだろ。子どもなんてそういうこと言うじゃん」
「げさじゃないよ」
私は首を振った。
「あなたは気に入らないことがあると黙る。話しかけても返事しない。私が謝って、あなたの嫌が戻るまでずっとその状態が続く」
の声がくなった。
「じゃあ何? 俺が全部悪いって言うの?」
「全部とか完璧とか、そういう話じゃない」
「おだって完璧じゃないだろ」
「完璧かどうかの話をしてない」
がちがった。
目つきが変わっていた。
鳴ってはいない。
けれど、これ以言うなという圧があった。
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それでも私は逃げなかった。
するとは吐き捨てるように言った。
「おがそうやって俺を悪者にするから、何も言えなくなるんだよ」
私は息を止めた。
「そっちの方こそモラハラだろ?」
その瞬、のが真っになった。
私がを追い詰めている。
私の言い方が悪い。
私がを悪者にしているから、は何も話せなくなる。
そう言われた。
理解してくれるとっていた。
なくとも、ひながになっているとれば、しは考えてくれるとっていた。
「そうだったのか」
その言だけでも欲しかった。
けれど返ってきたのは、私の方がおかしいという言葉だった。
はそのままリビングをていった。
私は1でソファに座っていた。
計の秒針が聞こえた。
議なほど涙はなかった。
代わりに、胸の奥で何かが切れていた。
届かない。
ここまで言っても届かない。
なら、もう私だけが届けようとし続けなくてもいいのではないか。
翌朝、は何も言わなかった。
私も何も言わなかった。
ただ、このから私は1つ決めた。
今までにしてきたことを、度全部やめてみよう。
事を作ること。
洗濯物を緒に洗うこと。
毎朝コーヒーをすこと。
先回りして話しかけること。
嫌をうかがうこと。
謝ること。
私はそれまで、自分がどれだけくのことをのためにしていたのか、初めて識した。
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翌の夕は、私とひなの分だけ作った。
ひなが好きな鶏肉を焼き、野菜のスープを添えた。
の皿は用しなかった。
帰宅したは卓を見たあと、何も言わず蔵庫をけた。
をしばらく見て、閉める。
私も何も言わなかった。
ひなのでは普通にする。
「今のお肉どう?」
「おいしい!」
「のお弁当、何入れてほしい?」
「たまご!」
私は娘といつも通り話した。
はしれた所にっていたが、その会話へ入ってこなかった。
洗濯も分けた。
ひなと私のだけを洗濯へ入れる。
のシャツや靴はカゴへ残した。
翌朝、は洗濯カゴので度ち止まった。
自分のシャツを見ていた。
それから私の方をちらっと見た。
何か言いたそうだった。
けれど何も言わない。
無を始めたのは自分からだった。
その、自分から話しかけることができないのだろう。
私はそうじた。
何か、はコンビニ弁当を買って帰ってきた。
リビングのテーブルで1でべ、容器を袋へ入れ、そのまま自へ戻る。
私はが事をしている、ひなとお呂に入ったり翌の準備をしたりしていた。
議なことに、以より事がし楽になった。
の帰宅を気にして夕を温め直す必がない。
「今は何に帰る?」と聞かなくていい。
が疲れているかどうかを気にしなくていい。
ある夜、私がひなの幼稚園のプリントを確認していると、がリビングへ入ってきた。