"不機嫌夫の末路" 第3話
私はコーヒーをし、勤するの背に「ってらっしゃい」と声をかけた。
は無言のまま玄関をていった。
ドアが閉じたあと、ひなが私を見た。
「パパ、ってる?」
「どうだろう。ちょっと疲れてるのかもね」
私はそう答えた。
けれどのでは、自分でも同じことを考えていた。
何にっているのだろう。
昼もカレーだったのに夕もカレーだったことか。
おもちゃがにていたことか。
それとも私たちには関係のない、仕事のことなのか。
理由が分からないのに、私は自然と「らせたのは私たちなのだろう」と考えていた。
それからも私は、のを踏まないように暮らした。
話しかけるなら帰宅してすぐではなく、し落ち着いてから。
頼み事をするなら疲れていない。
スマートフォンを見ているには話しかけない。
テレビの音量も、が帰宅するとしげる。
ひなが騒いでいると、「パパ疲れてるから静かにしようね」と先に注する。
誰かに教えられたわけではなかった。
全部、いつのにかについていた。
そうすることが、がでは当たりになっていた。
そんな活ので、私の仕事の予定が変わった。
来から毎週曜だけ、どうしても帰宅が1ほど遅くなることになった。普段は私がひなの幼稚園のお迎えをしていたけれど、その曜だけはにわない。
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ある夜、夕の準備をしながら私はへ切りした。
「来から曜だけ、ひなの迎えお願いできないかな」
はソファに座り、スマートフォンを見ていた。
数秒の沈黙があった。
聞こえなかったのかとい、私はもう度言った。
「仕事の都で、どうしても1くらい遅くなるの。毎週曜だけなんだけど」
はちらっと私を見た。
しかし何も言わない。
そのまま再びスマートフォンへ線を落とした。
会話はそこで終わった。
胸のに、いつものさが広がった。
まただ。
何が気に入らなかったのかは分からない。
送迎を頼まれたこと自体なのか、事に相談しなかったことなのか、それとも仕事を優先するように聞こえたのか。
翌、私は自分から声をかけた。
「昨の話、急だったよね。ごめんね」
はテレビを見ながら、「ん?」と気のない返事をした。
聞こえているのかいないのか分からない。
私は続けた。
「曜の迎えのこと。急に頼んだから」
「別に」
い返事だった。
それでも嫌な空気は変わらなかった。
いつもなら、ここからしずつ元に戻っていく。
1か2すれば、何事もなかったようにの方から話しかけてくる。その、私はほっとして、なぜっていたのかを改めて尋ねることもなく、常へ戻っていた。
けれど今回は違った。
3経っても、の態度は変わらなかった。
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5経っても同じだった。
事もほとんど会話がない。
私が「今遅かったね」と声をかけても返事はなく、「お噌汁いる?」と聞いても反応がない。
テレビさえついていない夜には、箸が皿に触れる音と、器を流しへ置く音だけが部に響いた。
私はその沈黙ので、がをく瞬を待っていた。
今こそ嫌が戻るかもしれない。
帰宅したの顔がし柔らかいから、もう丈夫かもしれない。
そんなふうに毎様子をうかがっていた。
ところが、やがてのたさはひなにも向かい始めた。
ある、ひなが幼稚園からきな画用を持ち帰ってきた。
とりどりのクレヨンで、族3らしい絵が描かれていた。
「パパ見て!」
帰宅したへ、ひなは嬉しそうに絵を差しした。
は靴を脱ぎながら度だけ線を向けた。
「で」
それだけ言って、絵を受け取らなかった。
ひなは画用を持ったままっていた。
「ママには見せて」
私がを伸ばすと、ひなはし寂しそうにしながらも私の隣へ来た。
「これがひなで、これママ。これパパ」
「だね。みんな笑ってるね」
「うん。おうちなの」
私はげさにならないように笑った。
が着替えてリビングへ戻ってくるかもしれない。戻ったら、もう度見せればいい。
そうった。
けれど、その夜もは絵を見なかった。
夕、ひなが幼稚園であったことを懸命話しても、は「うん」