"4200万円の隠し家" 第13話
義父がくなった15、文は「これからは慎也がの柱だから」と何度も言ったという。織が婚しての子どもを連れて実へ戻ったも、親族から「男のおが支えてやれ」と言われた。それを慎也は負担だと言えないまま、むしろ期待されることに自分の価値をじるようになっていった。
「いい息子でいたかった。織には頼れる兄だとわれたかった。佳代には族いの夫だとわれたかった」
慎也は顔を覆った。
「がりないなんて言えなかったんだ。もっといにしようって言えば、母さんにがっかりされる気がした。佳代に相談して無理だって言われたら、自分がけない男だって認めることになる気がして」
私は初めて、夫がを買った理由を本の言葉として理解した。
親孝だけではなかった。
妹へのいやりだけでもなかった。
「誰からも嫌われたくなかったのね」
慎也は頷いた。
「そのでみんながぶことを言ってた。母さんには俺が何とかするって言った。織には佳代も賛成してるって言った。佳代には賃貸だって言った。それでりなくなったら……佳代なら最は助けてくれるとった」
「私が?」
「27緒にいたから、見捨てないって勝にってた」
私はそこで初めて、胸の奥に残っていた最の疑問が解けた。
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慎也は、私を信頼していたのではない。
私が自分の無責任まで引き受けてくれると。
甘えていたのだ。
「あなたが今、自分のさを認めたことは事だとう」
私は子へ座り、夫を見た。
「でもいから嘘をついていいわけじゃない。いい息子でいたいという見栄のために、私の父のおを勝に使えるものとして扱っていい理由にもならない」
慎也は黙って聞いていた。
「誰も傷つけたくなかったって言うけど、自分だけ悪者にならないように全員へ違う話をする方が、ずっとくのを傷つけるのよ。お義母さんも織さんも私も、同じ事実をったで自分で判断する権利があった。それをあなたが奪ったの」
夫の目から涙が落ちた。
「佳代、俺は何をすれば償える?」
「償いは求めてない」
私はテーブルのに婚届を置いた。
「ここに署名して。これから私があなたの座を疑ったり、郵便物を確認したり、また借してるんじゃないかって怯えながら暮らさなくて済むようにして。それが今できることよ」
慎也はい、婚届を見つめていた。
やがてボールペンを握り、自分の名をいた。
27の夫婦活が、枚で消えるわけではない。
楽しかった記憶も。
娘を育てたも。
父を病していた私を支えてくれた夜も。
すべて残る。
ただ。
その続きへ。
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私はもう。
慎也を連れていかない。
翌朝、私は自分の荷物を運びした。
具や型のくは置いていった。しく始める活へ、慎也とのいが染みついたものを全部持ち込む必はないとった。
最に玄関へ鍵を置いた。
「さようなら」
誰に聞かせるでもなくにすると、私は27暮らしたをた。
半。
婚は正式に成した。
婚してから半、私は職にいさな賃貸マンションで暮らした。最初はきりの部が静かすぎるようにじたが、数週もすると、その静けさが何よりよくなった。夜にスマートフォンが鳴っても夫の借を疑う必はなく、郵便受けにの封筒が入っていても胸がざわつかない活が、これほど穏やかなものだとはらなかった。
慎也たちのそのは、必な範囲だけ弁護士を通してに入った。4200万円の居は売却され、売却代を充てても残った債務は慎也が法な理をめることになった。旧宅のに関係する借入れについても関係者と協議がわれ、文は広い居をれて、の丈にった賃貸宅へ移った。
織は子どもたちと別のアパートで暮らし始めた。保証の問題は専を交えて理され、なくとも兄任せにはせず、自分で契約を読み、自分で判断する活へ切り替えたという。
昼のパートに加えて別の仕事も始めたと聞いたが、私はそれ以詳しくろうとはしなかった。