"4200万円の隠し家" 第7話
「は読んだ?」
織は俯いた。
「ほとんど……。お兄ちゃんが借は全部自分が背負うって言っていたので」
私は鞄からコピーを取りした。
「この署名、覚えてる?」
織はを見た瞬、顔を変えた。
保証に関する類だった。
慎也から聞かされていた「毎5万円だけ払えばいい」という話とは、らかに違う責任がかれていた。
「私、こんな説されてない」
織のが震えた。
「お兄ちゃんは、借は全部自分が背負うって……」
私はすぐに結論づけなかった。
「まず弁護士に相談して。どの類に自分で署名したのか、どの部分を説されていなかったのか、きちんと確認した方がいい」
織は何度も頷いた。
兄は。
妻だけでなく。
妹にも。
自分に都のいい部分しか話していなかった。
翌週の曜、文から話があった。
「度こっちへ来なさい。慎也も呼んで、ちゃんと族で話しいましょう」
相変わらずから言い渡すような調だったが、私は断らなかった。夫が私に嘘をつき、父の遺産を返済の当てにしてまで買ったがどんなものなのか、自分の目で度見ておきたいとったからだ。
宅の角に、そのはあった。
を基調としたしい2階建てで、駐には織の軽自が止められていた。玄関を入るとしい材の匂いがし、広めのリビングには、対面式のシステムキッチン、きな収納まで備えられていた。
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「いいでしょう?」
文は得げだった。
「ご所のにも、息子さんがこんな派なを買ってくれて幸せですねって言われるのよ。のは古かったから、お友達を呼ぶのも恥ずかしかったけど、ここならだわ」
その言葉を聞いて、私は初めて気づいた。
膝が悪いから。
全なへ。
それが。
すべてではない。
文にとって、このは自できる居でもあったのだ。
「お義母さん、このを維持するために慎也がいくら必としているか、本当に分かっていますか?」
「またその話?」
文は骨に嫌そうな顔をした。
「佳代さんは細かすぎるのよ。族がむなんだから、しくらい助けてあげればいいじゃない。お父様からのおだって、使わずに置いておくより役にてた方がお父様もぶでしょう」
私は湯呑みへ伸ばしていたを止めた。
「私の父は、毎油まみれになってで働いて、2400万円を残しました。そのおは、お義母さんが所のに自するためのを維持するために貯めたものではありません」
文はむっとした。
「嫌な言い方ね。私は慎也がかわいそうだって言っているのよ。妻なら夫を支えるのが当然でしょう」
「嘘をついて勝に作った借を、あとから妻の相続で埋めることを『支える』とは言いません」
私は鞄からカードローンの細コピーをした。
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「慎也は宅ローンだけではありません。すでに別の借入れもあります」
200万円という残を見た瞬、文の顔が変わった。
「借? 慎也が?」
「に資を使いすぎて、活に余裕がなくなったんです。この状態で3600万円を25返す計画が、全だといますか?」
ちょうどその、パートを終えた織が帰宅した。
彼女はテーブルに広げられた資料を見ると、すぐ事を察したらしい。
「お母さん、だから言ったでしょう。こんな、私たちにはすぎるって」
「でも慎也が払えるって言ったのよ」
「お兄ちゃんは、佳代さんのおを当てにしてたんだよ。それをっててもまだ同じこと言うの?」
文は黙り込んだ。
織は内をゆっくり見回した。
「私、このをる」
文が驚いて顔をげた。
「何を言ってるの。子どもたちだってんでるでしょう」
「のおを当てにしないとめないなら、最初から私たちがめるじゃなかったんだよ。狭くても、自分で払えるところへく」
「織がたら毎5万円はどうするの?」
その言に、織の表が変わった。
「お母さん、おのことばっかりなんだね」
文は言葉を失った。
奥のから慎也がてきたのは、そのだった。髪は乱れ、目のには濃い隈があり、わずか週まで会社で営業部を務めていたとはえないほど疲れ切っていた。
「織、待てよ。今ていかれたら困るんだ」