"4200万円の隠し家" 第3話
私たちの老と、美咲に何かあったのためにしたいの」
慎也は温かいお茶をみながら、迷う様子もなく頷いた。
「それがいいよ。事なおなんだから」
私はその言葉を疑わなかった。2、父の介護で疲れていた私を支えてくれた夫だからこそ、父が残してくれたのみも理解してくれているとっていた。
ちょうど同じ頃、慎也から義母と織の引っ越しについて聞かされた。
「母さん、もうあのの階段がきついらしいんだ。織も子ども連れて戻ってきてるし、もうし暮らしやすいところへ移ろうって話になってさ」
私はその話に反対しなかった。築40以の義実は段差がく、の呂も寒かったため、膝の悪い文がして暮らせる所へ移ること自体は良いことだとった。
「引っ越し、私も伝うわ」
そう言った私に、慎也は首を横に振った。
「いいよ。佳代はまだ実の理もあるだろ。こっちは俺がやるから、し休めよ」
その言葉まで優しさだとっていた。
実際は違った。
私が引っ越し先を見れば、それが「頃な賃貸」ではないとすぐ分かる。築の戸建てを見れば、賃や契約内容について尋ねるに決まっている。だから慎也は、父をくして疲れていた私を休ませたのではなく、真実からざけたのだ。
曜のリビングでその事実にい至った、背筋がたくなった。
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「慎也、私の相続について、お義母さんや織さんに何か話した?」
夫の肩がわずかに揺れた。
「別に、詳しいことは……」
「2400万円って額まで言った?」
「母さんをさせるために、し話しただけだよ」
私は言葉を失った。
「何をさせる必があったの?」
「ローンがいから母さんが配しててさ。でも佳代にもまとまったがあるし、俺も退職がるから、最悪のも丈夫だって……」
慎也はそれを、まるで族をさせるためのさな方便だったかのように説した。
しかし、私には違って見えた。
彼は自分が負った借の全装置として、私の父の遺産を勝にへ示していた。しかも私はそのの購入に同していないどころか、そのものをらされていなかった。
「あなたは私のおを、もう自分のものとして話してたのね」
「そういうじゃない」
「じゃあどういう?」
慎也は答えられなかった。
私はその夜、別で眠った。
眠れるはずもなく、暗い井を眺めながら、半の来事を何度もい返した。父の葬儀の、私は喪を着て親族への挨拶に追われていた。慎也は「こっちは任せろ」と何度も私の肩を叩き、私が涙を流す暇もないほど細かなことを引き受けてくれていた。
あの。
慎也は何をしていたのだろう。
600万円を支払った付を、私はまだ確認していなかった。
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翌朝、慎也が仕事へた、私はダイニングテーブルに座り、昨夜保しておいた契約内容をもう度いた。の支払を確認した瞬、指先から体温が消えていった。
付は、父の通夜のだった。
私が父の遺のでをげ続けていたそのに。
夫は。
別ののために。
600万円をかしていた。
翌の夕方、仕事から帰ると慎也はすでにリビングにいた。普段なら帰宅は午8を過ぎることがいのに、そのはスーツ姿のままソファに座り、印刷した宅ローンの資料をテーブルのへ並べていた。私と目をわせない様子から、義母が来ることをっているのだとすぐ分かった。
30分ほどしてインターホンが鳴った。
玄関にっていた文は、昨の話の気まずさなど忘れたような顔をしていた。「佳代さん、昨は急に切って悪かったわね」とでは言ったものの、謝っているの態度ではない。そのまま慣れた取りでリビングに入り、当然のように座へ腰をろした。
「でもね、慎也をあまり責めないであげてちょうだい。あの子も男として懸命やってくれているのよ」
私はキッチンで茶を入れながら黙って聞いた。
文はしいがいかに適かを話し始めた。当たりがよく、浴にはすりがあり、階段の勾配も緩やかで、織の子どもたちにもずつ部があるという。