"ATM扱いされた父の正体" 第4話
「おは、俺たちがいなくても困らないんだな」
「何回言わせるんだよ」
「族でもない?」
裕介は瞬だけ黙った。私はそこでやめてほしいとい、わず「裕介」と名を呼んだが、直美が先にをいた。
「族って言っても、もう別世帯ですから。なくとも、私たちの活にをす権利はありません」
裕介もそれに押されるように言った。
「そういうことだよ。もう族じゃないとってくれていい。度と突然来ないでくれ」
博は数秒、息子を見つめていた。殴るのではないかと配になるほどの沈黙だったが、夫は何もせず、ゆっくり私の肩へを置いた。力く、しかし私を怖がらせないように優しく支えてくれた。
「子、帰ろう」
「でも、プレゼント……」
「持って帰ろう。このに置く必はない」
私たちが背を向けると、裕介が「そうしてくれ」と言った。扉が閉まる直、博は度だけ振り返った。そこには普段の優しい父親の顔ではなく、私は現役代に数回しか見たことのない会社役員としての顔があった。
「裕介。最に確認しておく」
「何だよ」
「今から俺たちは、おが望んだ通りにする。親だから当然だとっていたことも、全部終わりにする。それでいいんだな」
「好きにしろよ」
チェーンの向こうで裕介がそう答えた。
帰り、はさらにくなっていた。私は袋を胸に抱えたまま、何度も涙を拭った。
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博は何も言わず私の歩幅にわせていたが、まであと10分ほどになったところで、ようやくをいた。
「子。おはもう、あいつらのためにも勤務を変えなくていい」
「博……」
「孫は悪くない。だから孫を憎む必もない。でも裕介たちが『自分たちだけでやる』と言ったなら、その言葉を尊しよう」
それは復讐をにするの声ではなかった。むしろ恐ろしいほど静で、その静さが私にはだった。夫は何かを胸の内で理し、く続いてきたものを切ろうとしているように見えた。
へ着くと、博は濡れたコートを脱ぎ、いつものように私へ温かいお茶を入れてくれた。その、何も言わず斎へ向かい、普段ほとんどけない引きしから黒い革表のファイルを取りした。私はそこで初めて、夫の「退職」について、自分がほとんど何もらなかったことに気づいた。
「子。今まで話していなかったことがある」
その夜。
私は40く緒に暮らしてきた夫の、もうつの顔を初めてった。
博は5、証プライムの精密器グループ「亜精」の常務執役員を最に表台から退いた。私はてっきり完全に会社をれたのだとっており、本もに数回「釣りにく」「昔の仲と会う」と掛ける程度だった。ところが黒いファイルには、私がらない会社名や株式の覧、顧問契約が綴じられていた。
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「俺は役員を退いたも、グループの経営顧問を続けている。に1度しか本社へかないが、規投資や取引先の審査会には今も呼ばれているんだ」
「でも、どうして私にも黙っていたの?」
「隠すつもりじゃなかった。現役を退いたら、では会社のじゃなく子の夫でいたかっただけだ。それに顧問料も株の配当も活には必なかったから、話す会を失っていた」
博はそう言って苦笑した。さらに驚かされたのは、夫が個資産を管理するため10以にさな資産管理会社を作っており、退職や保してきた自社株、投資信託などをそこへ移していたことだった。総額は価で2億円をきく超えており、私は数字を見てもすぐには現実として受け止められなかった。
しかし本当に私を驚かせたのは、その次だった。
「裕介の会社、メディテックソリューションズには、俺の会社が資している」
私はわず夫の顔を見た。裕介は5、医療器向けシステム会社を友とちげ、ここ2、3で急激に事業を拡していた。本から「部の投資会社が資してくれた」と聞いてはいたが、その投資会社の実質な所者が父親だとはらなかった。
「創業直、裕介から直接を貸してくれと言われただろう。俺はそれを断ったが、事業計画そのものは悪くなかった。