"ATM扱いされた父の正体" 第3話
私は仕事帰りで、紺のダウンコートのにはなセーターを着ていた。のに孫へ会いに来るだけなのだから、それで分だとっていた。
「正直、そういう古いじも嫌なんです。うちの両親はもっとなりにも気を使ってますし、孫の誕には10万円の自転を買ってくれました」
「値段で比べるようなものじゃないでしょう」
「でも、お義母さんたちがくれたのは5000円くらいの形でしたよね」
私はわず袋を見た。この選んだ製のおもちゃも1万円には届かない。けれど孫が最、物の形をした積みを気に入っていると聞き、何舗も回って選んだものだった。
裕介がため息をついた。
「母さん、もういいよ。そういうの全部、恩着せがましいんだよ」
「恩着せがましい?」
「学費をしたとか、結婚式を援助したとか、孫を預かったとか。親なら普通だろ。それをいつまでも『してあげた』みたいにわれるのがいんだ」
私はこれまで、それらを息子へ直接持ちした記憶がなかった。それでも裕介のでは、私たちのそのものが「恩を着せる親」に変換されていたらしい。何を言い返しても、今の彼には届かないような気がした。
そこへ直美が決定な言をねた。
「それに、お義母さんのお仕事だって、あまり子供のでは話してほしくないんです。
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介護って、正直きれいな仕事じゃないでしょう」
博の表が変わった。
緒に暮らしてきた私には分かった。
ここまでは耐えていた。
だが今の言だけは。
夫にとって、越えてはいけない線だった。
博は結婚してから40、度も私の仕事を軽んじたことがない。私が夜勤けで眠っていれば朝を作り、腰を痛めたには黙って洗濯を引き受け、利用者を取って泣いて帰った夜には何も聞かず隣に座ってくれた。会社でどれほど忙しくても、「子の仕事はの最のを支える仕事だからな」と言っていた。
「直美さん、今の言葉を撤回してくれ」
博は鳴らなかった。むしろ声量は先ほどよりさくなっていたが、その静けさに裕介まで僅かに姿勢を変えた。勢の部を率いていたの声には、を爆発させなくても相を止める力が残っていた。
「どうしてですか。私は事実を言ってるだけです」
「の排泄を伝うことが汚いんじゃない。自分ではできなくなったを、尊厳を傷つけず支えることが介護だ。38それを続けてきたに、おは今なんと言った」
直美は瞬黙ったものの、すぐ裕介のろへ半歩がった。裕介は父親を睨み返し、「父さんまでげさなんだよ」と吐き捨てた。私は息子が夫へそんな目を向けたことにも驚いた。
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「父さんだってもう過のだろ。昔は役員だったかもしれないけど、今は暮らしじゃないか」
「それがどうした」
「何もできないのに偉そうに説教するなって言ってるんだよ。母さんも父さんも、もう俺たちには必ないんだ」
が玄関ポーチへ吹き込んだ。私はえた指でプレゼントの持ちを握りながら、言葉のをゆっくりみ込もうとした。必ないというのは、しばらく距を置きたいというなのか、それとも本当に関係を切りたいというなのか。
「裕介。本気で言っているの?」
「本気だよ。俺たちはもう自分たちの庭を持ってる。母さんたちがいなくても何も困らないし、むしろいないほうが楽なんだ」
直美も隣で頷いた。
「義理の親なんて、私からしたらですから。正直、おの援助もできないのに頻繁に来られると困るんです」
「おの援助?」
「言い方は悪いですけど、ATMにもならない親なら、せめてをさないでほしいんですよ」
博の眉が僅かにいた。
「ATM、か」
その言だけだった。だが私は夫の声に、さっきまでとは違う種類のたさをじた。りがさらにくなったというより、何かを決めたの声だった。
裕介は父親の変化に気づかなかったらしく、なおも言葉を続けた。
「そうだよ。父さんだって退職して5だろ。昔の肩きなんか今さら何の価値もない。
それなのに、いつまで俺のに響力があるつもりなんだよ」