"消えなかった500円" 第4話
正雄は駅のさな喫茶へ向かった。
の番奥。
すでに男が3座っている。
「遅いぞ、佐々」
「残業だ」
「相変わらず忙しいな」
そこに集まっていたのは、かつて属業で緒に働いた男たちだった。
田辺。
松本。
。
そして正雄。
皆、が倒産した、それぞれ別の所で働いている。
は板。
は自部品。
は配送会社。
活に余裕がある者などいなかった。
田辺が封筒を机のへ置いた。
「今分」
も続ける。
「俺も」
松本が財布から500円をした。
最に正雄が枚置く。
全部で2000円。
「昭夫のところ、今どうだ?」
正雄が聞いた。
田辺がし顔を曇らせた。
「まだ働けないらしい」
かつて同じで働いていた昭夫という男がいた。
倒産、なかなか再就職先が見つからなかった。
ようやく働き始めた矢先、体を壊した。
入院。
期療養。
妻と3の子ども。
計は気に苦しくなった。
属業の仲たちがそれをったのは、倒産して数かだった。
田辺が最初に言った。
「みんなでしずつさないか」
誰かが何千円も渡せるほど豊かではない。
だが500円なら、苦しいながらも何とかせる。
正雄たちは相談した。
毎500円。
4なら2000円。
ほかに参加する仲がいれば、その分もまとめる。
ただし名はさない。
「俺たちからだって分かったら、あいつ受け取らないぞ」
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松本が言った。
昭夫は倍、に借りを作ることを嫌う男だった。
「見っていたら返してくる」
「だったら匿名で送ろう」
郵便為替に換え、差をぼかして送る。
それが始まりだった。
最初は半ほどのつもりだった。
昭夫が働けるようになるまで。
しかし回復は遅れた。
子どもは成する。
学用品も必になる。
正雄たちはやめなかった。
ある。
田辺が言った。
「佐々、お、奥さんに話してるか?」
正雄は煙を消した。
「話してない」
「丈夫なのか」
「うちも余裕ないだろ」
「だからだよ。500円でもじゃきいんじゃないか?」
正雄はし黙った。
確かにきい。
が10円、20円を節約していることもっている。
娘の靴が傷んでいることもっていた。
そのの朝、次女がつま先のいた靴を履いて学へったのを見ている。
胸が痛まなかったわけではない。
「話せば、はたぶん止めない」
正雄が言った。
「なら言えばいいじゃないか」
「でも昭夫のことを話すことになる」
「仲だろ」
「本がられたくないことまで、俺がで話すのは違う」
田辺は何も言わなかった。
正雄は続けた。
「それに、のからしてるって言ったら、は自分までする」
「今でもしてるだろ」
「だから俺の遣いってことにする」
松本が苦笑した。
「お、器用だな」
正雄も自覚はしていた。
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だが、うまい説の仕方が分からなかった。
誰かを助けている。
そんなことをでにするのも、どこか違う気がした。
褒めてもらいたくてしているではない。
昭夫の族が、せめて今の米を買えるように。
子どもが学へけるように。
それだけだった。
喫茶をたあと、正雄たちは駅の郵便局へ寄った。
数分のをまとめる。
為替にする。
宛先をく。
正雄は封筒を投函する直、度だけののさを確かめた。
毎、に責められる500円。
しかし正雄のかられたそのは、何かには別のの卓へ届く。
正雄はそのことをで度も話さなかった。
は、ゆっくりと活を変えていった。
昭40代の終わり頃には、所にもカラーテレビを買うが増えた。佐々でも何か貯した末、ようやくしいテレビを買った。
テレビがへ届いた、娘たちは朝から落ち着かなかった。
「がついてる!」
次女が画面ので叫ぶ。
は、
「そんなくで見たら目が悪くなるよ」
と何度もろへげた。
正雄はしれた所で煙を吸いながら、娘たちを見ていた。
「お父ちゃんも見れば?」
「見てる」
「全然く来ないじゃん」
「ここで見える」
のに物が増えた。
蔵庫。
洗濯。
テレビ。
暮らしはしずつ便利になった。
娘たちは学になった。
制が必になる。
教科以にも参考が欲しいと言う。
女がへ学したいと言った、は真っ先にのことを考えた。