"赤身を笑った女の末路" 第1話
世のにどれだけ「親友」を名乗るがいるのかは分からない。けれど私には、代からずっと自分のことを私の親友だと言い続けていた女性がいた。
彼女の名は子。現は、私の元夫と同じ川姓を名乗っている。
私は実乃里、47歳。今では1娘の由美も学を卒業し、このから社会になった。
そんな今になってい返してみても、子と私がなぜ代にあれほど緒にいたのか、自分でもよく分からない。
私は女子同士で集団を作ってするのがあまり得ではなかった。クラスの誰かと仲が悪かったわけではないが、休みになると1で本を読んでいることがかった。
テレビドラマや男性アイドル、流のメイクやファッションについて友達同士で盛りがることにも、それほど興がなかった。成績はのくらいで、美術だけは得、数学は苦という、ごく普通の女子徒だった。
そんな私に、なぜか子は入学してもない頃からよく話しかけてきた。
「ねえ実乃里、何読んでるの?」
あるの休み、子が私の机に両をついて本を覗き込んだ。
「龍の『とのファシズム』」
「わあ、なんか難しそう。ファシズムって何?」
私はし考えてから、自分なりに説した。
「とか理とか、そういうきれいな名を使って、みんなを1つの考えに押し込めていくようなものかな」
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「ふーん。よく分からないや」
子は笑った。
結局、その本の内容に興を持ったわけでもなかったらしい。それなのに翌も、その翌も、子は私のところへやってきた。
「体育ってだるくない?」
「のって髪がねて最悪」
「B組の坂本君、ちょっと格好よくない?」
「やっぱり付きうならかな」
「実乃里ってメイクとか興ないの?」
話題はいつもそんなじだった。
私が興を持つことはなく、会話もそれほど弾まなかった。それでも子は気にする様子もなく、毎のように私の隣にいた。
子は柄で、当からなりに気を遣うタイプだった。成績はのほどだったとうが、流には敏で、友達もかった。
接点のない私に、どうしてそこまで付きまとってくるのだろう。
だった私は、その理由をく考えたことがなかった。
子の態度がし変わり始めたのは、学の彼氏ができてからだった。
昼休みのチャイムが鳴ると同に、彼女は私の机へ直線にやってきた。
「ねえ実乃里、聞いて。彼氏が昨ドライブに連れてってくれたの」
「へえ」
私は読んでいた本から顔をげた。
「学って持ってるからいいよね。とは全然違うわ」
関のこの辺りでは、京ほどが珍しいものではない。学がを持っていることも、特別驚くほどではなかった。
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それでも子は得そうだった。
「しかも、おしゃれなイタリアンをご馳してくれたの」
「それはよかったね」
「実乃里も彼氏作ればいいのに」
「今は別にいいかな」
子は私の返事を聞いて、し議そうに眉をげた。
「もったいなくない?」
「何が?」
「だって女子って、で1番モテる期じゃない? 20歳過ぎたらもうおばさんなんだから」
「そうなの?」
私は本気で分からず聞き返した。
「そうだよ」
「じゃあ、あと3もしたら子もおばさんなんだね」
悪気はなかった。
ところが子はむっとした顔になった。
「実乃里だっておばさんじゃない」
「私は20歳過ぎたらおばさんだなんてってないから」
そんなふうに、私たちの会話はいつもどこか噛みわなかった。
子はそのも、聞いてもいない彼氏の話をしてきた。
「昨、ブランド物のお財布もらっちゃった」
「彼のお母さんがね、子ちゃんいって」
「来週は泊まりで旅にくんだ」
私はそのたび「へえ」「よかったね」と返した。本当にそれ以のはなかったのだが、子にはそれががりに見えていたらしい。
「実乃里ってさ、本当はがってるだけじゃない?」
「何が?」
「彼氏いないでしょ。私だったら寂しくて無理」
「私は1のも好きだから」
そう答えると、子は決まって物りなさそうな顔をした。
になって考えれば、彼女が欲しかったのは「羨ましい」
という言葉だったのだろう。