"11年目のコロッケ" 第3話
ぶりのイヤリングだった。
の台に鳥の羽のような模様があり、央には赤いが埋め込まれている。
私はゆっくり京子を見た。
「京子さん、それ……あなたのイヤリングですよね」
京子の肩がねた。
親族の何かも気づいたようだった。
京子は昔から、そのイヤリングを自していた。
「世界に1つしかない特注品なの」
片方を失くしたと言い、残った1つだけを着けていた。
だが、父と京子が結婚したのは母が失踪してから半だった。
父の説では、2が親しくなったのも母が消えたのはずだった。
なのに、11から封印された井戸の底から、京子のイヤリングがてきた。
「違うわ!」
京子が叫んだ。
「偽物よ! この娘が作ったのよ!」
黒田刑事は静かに首を横に振った。
「すでに宝飾で確認しています。これは12、健さんが京子さんへ贈った特注品です」
座敷の空気が変わった。
「つまり、お2は裕子さんが失踪する1以から関係を持っていた。なくとも、京子さんが当このへ入りしていた能性があります」
「たらめだ!」
父が鳴った。
「裕子は田と逃げたんだ! 所のだって、あいつが田のに乗ったのを見たと言っている!」
確かに田も消えていた。
だからこそ11、誰も父を本気で疑わなかった。
しかし黒田刑事は、父をれむように見た。
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「健さん。私たちは今、証拠品を見せに来ただけではありません」
廊にいる若い刑事へ図した。
「入ってください」
障子がいた。
そこにっていた男を見た瞬、父の唇が震えた。
髪混じりの髪。
痩せこけた頬。
杖を握る。
11、母と駆け落ちしたはずの男。
田だった。
「久しぶりですね、健さん」
田は杖をつきながら座敷へ入った。
「いや……殺しと呼んだ方がいいですか」
親族の誰かが息をんだ。
父は言葉を失い、京子はずりした。
田がきている。
その事実だけで、11守られてきた「駆け落ち」という話が崩れ始めていた。
「私が裕子さんと逃げた?」
田は父を睨みつけた。
「ふざけるな。私は11、名を変え、む所を転々としながら逃げてきた。あなたが差し向けた連に殺されないためにな」
私は息を詰めた。
黒田刑事が静かに促した。
「田さん。あののことを話していただけますか」
田は私を度見た。
その目には、申し訳なさと苦しさが浮かんでいた。
「11の1015、午6半を過ぎた頃でした」
田のは黒田の裏と隣接していた。
そのの夕方、田は裏庭で作業をしていた。々の隙から黒田の裏と古い井戸の周辺が見える所だったという。
「私は見てしまったんです」
田の声が震えた。
「買い物袋をげて裏から帰ってきた裕子さんを、健さん……あなたがろから殴るところを」
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座敷の誰かがさく鳴をげた。
「裕子さんはそのに倒れました。するとのから京子さんがてきた」
京子が激しく首を振った。
「嘘よ!」
「京子さんは裕子さんのから買い物袋を奪い、井戸へ投げ捨てました。さっきのコロッケのレシートは、その緒に落ちたんです」
「黙れ!」
父がくにあった酒瓶を田へ投げつけた。
瓶は畳ので割れ、酒とガラス片が散った。若い刑事がすぐに父の腕を取り、へ押さえ込んだ。
「嘘つきだ! こいつは俺を陥れようとしている!」
「嘘ではありません」
田は歩も引かなかった。
「そして私が11逃げ続けた理由は、ただ目撃したからだけではない」
田は古びた着の内側へを入れた。
父の顔が変わった。
「裕子さんは倒れる直、私のに気づいていました。背からあなたがづいていることにも気づいていた」
田が取りしたのは、古びた透袋に包まれたさな黒い帳だった。
袋には赤黒い染みが残っていた。
父が叫んだ。
「なぜおがそれを持っている!」
その瞬、座敷の全員が父を見た。
父自が、それをっていると認めてしまったのだ。
「これは裏帳簿ですね」
田は静かに言った。
「裕子さんがあなたに殴られる直、垣根の向こうにいた私へ投げたんです。あなた方が井戸に捨てたのは別の計簿だった」
母は父の会社でわれていた正の記録を見つけていた。