"100億の身代わり花嫁" 第6話
背には複数のモニターが並び、そのつに妹の病が映っている。
「まだ分かっていないようだな」
庄がく笑った。
「蔵も竜も岸島も武田も、全員ただの駒だ」
美咲は黙った。
「鳥の内部抗争も、100億円の借も、全部私が組みげた」
「どうして」
「だ」
庄の目がたくなる。
「私は何も、愚かな連ので働いてきた。蔵はだけ持った老。竜は跡継ぎの子しか見ていない。岸島は暴力しからない。武田は名誉とで簡単に転ぶ」
庄がを乗りした。
「私はあいつら全員を利用して、最に100億円を奪う」
そして美咲を見る。
「そのを私の座へ移せ」
「断ったら?」
庄は病の画面を指した。
「あと1で妹はぬ」
本当の敵が姿を現した。
だが美咲は、庄の話を聞きながら画面の端に表示されている防御システムを見ていた。
ある文字列が目に入る。
自然に繰り返される記号。
M。
I。
S。
A。
K。
I。
胸がく鳴った。
それは幼い頃、父が設計図へ々残していた遊びのある署名だった。
美咲の名を分解した文字列。
庄が「自分の完璧なシステム」と呼んでいるものは、父が作ったシステムを基礎にしている。
なら。
突破はある。
「どうした?」
庄が笑った。
「絶望して声もないか」
美咲は答えなかった。
沈黙したまま、父のシステムの構造をので辿っていた。
広告
幼い頃。
仕事の隅で父がよく言っていた。
「い鍵というのはね、美咲。けられない鍵じゃない」
「じゃあ何?」
「正しいだけがけられる鍵だ」
あの頃はが分からなかった。
だが今なら分かる。
父はシステムに緊急用の入を必ず残していた。
悪用されたに止めるための、設計者だけがる。
「さあ、送を始めろ」
庄が命令する。
その、病の監画面でドアがいた。
姿の若い護師が入ってくる。
妹の担当をしていた佐藤奈だった。
「佐藤さん……」
美咲のから声が漏れた。
黒スーツの男が奈へづく。
ていけとで示した。
しかし奈はかなかった。
男が乱暴に腕を伸ばす。
美咲はわずちがった。
「逃げて!」
届くはずのない声だった。
次の瞬。
信じられないことが起きた。
奈は男の腕をかわし、体勢を崩させると、そのまま男をへ倒した。
黒スーツの男がかなくなる。
庄の表が変わった。
「何だ、あの女!」
奈は監カメラを見る。
そしてを広げた。
そこにはきな文字でかれていた。
『3の恩返しです』
美咲は息を呑んだ。
3。
ゼロとして裏社会のネットワークを調べていた美咲は、売買の標にされていた若い女性の報を偶然見つけた。
直接会ったことはない。
ただ、追跡者の報をき換え、全な所へ逃げられるようにした。
広告
その女性が奈だった。
「まさか……」
画面ので奈は妹のベッド脇へさな端末を接続した。
直。
美咲のパソコンへしい接続が現れる。
病側のシステムが、庄のネットワークから切りされた。
妹への直接な危険が消えた。
「何をした!」
庄がちがった。
「病院へ別のを向かわせろ!」
無線へ鳴る。
美咲は初めて笑った。
「無駄よ」
庄が画面を見る。
「何?」
「妹のいる区画は今、あなたのネットワークから切りされた」
「そんな馬鹿な」
「あなたの完璧なシステム?」
美咲は子へ座り直す。
「これを作ったのはあなたじゃない」
庄の顔が引きつる。
「父のものを盗んで、継ぎして、使っていただけ」
「黙れ」
「なら教えてあげる」
美咲は指をかし始めた。
「本物の持ち主が触ったらどうなるか」
父の設計を辿る。
緊急止。
権限の反転。
記録の放。
庄が作った防壁がつずつ無力化される。
画面に保されていた裏帳簿。
資の移記録。
違法な取引の覧。
全てが美咲の管理へ戻ってくる。
「あり得ない」
庄の額に汗が浮かぶ。
「私のシステムが……」
「あなたのじゃない」
美咲は静かに言った。
「父のシステムよ」
庄の表が完全に崩れた。
「貴様みたいな卒の貧乏女が!」
鳴り始める。
「調子に乗るな!」
美咲は何も言い返さなかった。
ただ操作を続けた。
相が鳴れば鳴るほど、美咲のは静かになっていった。
やがて庄は無線を掴んだ。
「竜! 蔵! 岸島! 今すぐ事務所へけ! あの女を止めろ!」