"灯油札の密告" 第3話
最初からベッドのへ隠れていたのではなく、度部からたあと、何らかの理由で戻った能性があった。
災現の見取り図をくと、湊の部から勝まではそれほどくない。もし母親が識を取り戻して勝までんでいたなら、湊も度は母親を追って廊へたのかもしれなかった。しかし勝はから頑丈に塞がれており、玄関も鎖と京錠で閉じられていた。
「この子は、逃げがないと分かったんでしょうか」
佐々がさく言った。
野は答えなかった。歳の子どもが何を理解したのか、像だけで決めつけるべきではないとったからだ。ただつ言えるのは、湊が最に選んだ所が、誰かから教えられた避難所ではなく、自分の部のベッドのだったということだった。
午になると、現検証がさらにんだ。玄関の鎖は偶然そのにあった物ではなく、取っへに巻きつけたにほとんど余りがないさだった。勝を塞いだ横も戸枠の幅へわせるように切られており、そこへ打たれた釘は般庭ではあまり使わない太くい種類だった。
「そのでいついてやった仕事じゃない」
野は焼けた横の写真を見ながら言った。
「の寸法をっていたが、もって準備している」
広告
さらに、の広がり方から見ても、の内部の複数箇所へ灯油が使われた能性がまった。藤には用の灯油が保管されていたものの、通常置かれている所かられた廊や玄関付にも油性成分が確認されている。誰かがにあった灯油を使ったのか、それともから持ち込んだのかは、この段階では分からなかった。
夜になり、野は事件当に現へいたの写真を並べた。斎藤の首の傷が、由里の爪に残された皮膚組織と結びつく能性はある。しかし斎藤は事をったあとへ駆けつけ、炎へび込もうとした男でもあり、その際にどこかで怪をした能性だって否定できない。
そこへ佐々がしい報告を持ってきた。
「斎藤の傷について、本は野良猫だと言っています。ところが所のに聞いたところ、あので猫を飼っていた事実はありませんし、斎藤が野良猫へ餌をやっている姿を見たもいません」
「それだけなら嘘とも言えない」
「もうつあります。のろに、しい傷の跡がありました」
野は顔をげた。
「現へ駆けつけたにのを浴びたんじゃないか?」
「本もそう言っています。ただ、消防の映像を確認すると、斎藤はに押さえられてから度ものそばまでづけていません。
広告
のが直接当たりそうな距には入っていないんです」
野は子の背へ体を預けた。
まだ証拠ではない。
しかし、さな違がつになった。
そして捜査がむほど、その数はゆっくりと増えていった。
事件発からが過ぎる頃には、捜査本部のホワイトボードにの名がきくかれていた。元炭従業員の加藤夫と、由里の過にく関わっていた藤浩である。どちらにも分かりやすいがあり、たちの証言にも彼らを疑わせる材料がいくつもあった。
加藤はか、料の支払いをめぐってと激しい論を起こし、を辞めていた。その、「おのから黒い煙ががるところを見てやる」と吐き捨てたのを複数の従業員が聞いていた。実際に放事件が起きた以、捜査員が最初に加藤の所を確認したのは当然だった。
ところが加藤には、ほとんど崩しようのないアリバイがあった。事件の夜940分、埼玉県内の建設現くにあるコンビニで酒とカップ麺を買う姿が防犯カメラに残っていたうえ、午2過ぎには宿舎で騒いで監督から直接注を受けていた。さらに午5には資材搬入作業へ参加しており、野との往復を考えれば犯は能だった。
野はホワイトボードの加藤の名へ赤い線を引いた。
放を連させる言葉を残した物が犯なら話は単純だったが、現実の事件はそう都よくんでくれない。