"消された妻の逆転乾杯" 第4話
の審査関から製品の全性について質問が来ており、翌朝までに回答を作らなければならないという。内容を読むと、センサー材料の度が温度変化によってずれる問題があり、追加試験なしに全だと言い切ることはできなかった。
「このままのデータでは断定できないわ。なくとも温と温の条件で試験を増やす必がある」
「そんな説じゃ役員が納得しない。もっとできるき方にしてくれ」
「事実以に全だと見せれば、で事故が起きたにもっときな問題になる」
「責任は俺が取る。おは言われた通り文章をえればいい」
その言葉を聞いた瞬、私は初めて孝志に対して警戒を抱いた。以は私の技術そのものを理解していないだけだとっていたが、今の彼は理解する気さえなく、世のためなら事実の見せ方を変えることにも抵抗がなくなっていた。私は回答を作る代わりに、追加試験の必性を記し、その元データを自分のパソコンにも保した。
それから私は、孝志に渡す資料をすべて複製するようになった。付入りの設計ノート、修正と修正のデータ、メールで送ったファイル、試験条件を変更した履歴も残した。退職に会社で使っていた技術者識別名が古いデータの作成者欄に残っていることにも気づき、それらも複数の記憶媒体へ保した。
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ある、斎を片づけていた、見覚えのない封筒が棚の奥から落ちた。に入っていたのは、孝志の会社から私宛てに送られた「部技術顧問契約」と、その契約を辞退する内容の回答だった。私はそのような契約を見た記憶もなければ、辞退した覚えもなかった。
「これ、何?」
帰宅した孝志へ見せると、彼は瞬だけ線を泳がせた。
「昔、会がおを顧問として戻せないかと言ってきたんだ。でも母さんの介護もあったし、断っておいた」
「私は何も聞いていないわ。この辞退の署名も私の字じゃない」
「庭を優先するって、おの代わりに返事をしただけだ。今さら昔のことを蒸し返すな」
「私の署名を真似して?」
孝志は苛ったように机を叩き、「誰のおかげで活できているとっているんだ」と言い捨てた。その瞬、私ので何かが静かに変わった。仕事を辞めたのは族のためだったが、仕事へ戻る会まで夫が勝に奪っていたことは、族のためではなかった。
私はその夜、契約と辞退をコピーし、これまでの設計資料と同じ保管箱へ入れた。
まだ婚しようとは考えていなかった。ただ、これ以自分の過まで「そんなものはなかった」と言われないように、私が私だった証拠だけは残しておこうとった。
義母がくなったも、孝志は私に仕事へ戻るよう勧めることはなかった。
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むしろ事を完璧にこなす活を当然のように受け入れ、昇するたびに付きいが増え、帰宅も遅くなっていった。私は何度か再就職を考えたが、17という空はきく、医療器分野の技術もきく変化していたため、うような職は見つからなかった。
そんな頃、孝志のシャツから見慣れないの匂いがするようになった。ホテルの領収や温泉旅館の予約メールも見つかり、会社の若い部である川リナと緒に写った写真までクラウドに残っていた。問い詰める必もないほど、関係はだった。
それでも私がすぐに何も言わなかったのは、証拠を集めるためだけではない。35緒にきてきたへ、が完全に消えているのか自分でも分からなかったからだ。裏切られたりより、ここまで来てしまった夫婦のそのものを、簡単に捨てていいのかという迷いの方がきかった。
やがて孝志は、65歳をに執役員へ昇する内示を受けた。会社では定も役員として残れることがほぼ決まり、その祝賀会には取引先や関連会社、融関まで招かれるという。案内状が届いた夜、孝志は鏡のでしいスーツをわせながら、私へ妙な条件をした。
「おも会へ来てもいい。ただし、俺の隣には座るな」