"消された妻の逆転乾杯" 第1話
「皆さん、ご紹介します。、私を支えてくれた妻のリナです」
120ほどの招待客が集まったホテルの宴会に、夫・佐孝志の声が響いた。い井からがるシャンデリアのを受けながら、孝志の隣にはのドレスを着た川リナがっていた。彼女が嬉しそうに孝志の腕へを絡ませると、会からきな拍が起こった。
私はその景を、会の端に用された丸テーブルから見ていた。席札には確かに「佐美」とかれているのに、そこに私が何者として招かれているのかをるはほとんどいなかった。35連れ添ってきた本当の妻は、夫の昇を祝う宴席で、らない招待客ののように扱われていた。
会へ向かう直、孝志はホテルの廊で私にを押していた。鏡のでネクタイをえながら、彼は悪びれる様子もなく「今だけは余計なことを言うな」と告げたのだ。私が妻として紹介されるのではないのかと聞くと、彼は面倒そうに眉を寄せた。
「おを妻としてしたら、俺の格ががる。リナなら取引先のへしても恥ずかしくない」
17、私はこの男のために仕事を放した。夫の母を介護しながら夜の卓で設計資料をき、会社の危を救うために数百ページの検証記録まで作ったのに、その功績は度も私の名で表にることはなかった。
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孝志は私の技術を自分の実績として使い、昇するたびに「専業主婦のおには会社のことなど分からない」と言うようになった。
それでも私は、今まできな騒ぎを起こさなかった。グラスの脚を指先で静かに支え、壇で笑う孝志とリナを見つめていた。りがなかったわけではないが、それ以に、議なほど胸のが静かだった。
なぜなら、この宴会が始まる2週には、もう黒川会へすべてを渡していたからだ。
設計ノート、修正履歴、古い記憶媒体、私の署名を真似て作られた辞退、そして会社の経費として処理されたホテル代や宝の記録まで。17、孝志が私から枚ずつ奪っていったものが、今度は彼自の逃げを塞ぐ証拠になっていた。
壇の孝志が、こちらへ勝ち誇ったような線を送ってきた。「聞こえただろう」とだけかしたのが分かったので、私は何も言わずグラスをし持ちげた。約束通り、乾杯くらいはしてあげるつもりだった。
その、会の最列に座っていた黒川会がゆっくりとちがった。
「佐君。今の紹介で、最の確認が取れた」
拍が止まり、孝志の笑顔が初めて固まった。
その瞬、私は17のをいしていた。すべてが始まったのは、義母が病院から退院することになった、の午だった。
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「美、仕事は辞めろ」
義母の退院説を受けた病院の廊で、孝志は気の話でもするような調子で言った。窓のでは細いがり続き、濡れた駐をがゆっくりと通り過ぎていた。医師からは、義母がで入浴や階段のりりをすることは難しく、当面は族の見守りか介護サービスが必だと説されたばかりだった。
当45歳だった私は、医療器メーカーで全設計の仕事をしていた。学を卒業してから技術職として働き続け、特に直の10は、齢者や入院患者の転倒を防ぐセンサー技術を専にしていた。患者がベッドから起きがるきを検し、転倒するに護師へらせる装置の発は、ようやく実用化が見えてきたところだった。
「介護サービスを使えば、私も仕事を続けられるわ。昼だけお願いする方法もあるし、費用の部は保険で――」
「がかかるだろ。に嫁がいるのに、どうしてへを払う必があるんだ」
私はしばらく孝志の顔を見つめた。彼にとって私は、同じように働いて計を支えるではなく、必になればいつでも庭へ戻せる員だったのだと、その初めてはっきり分かった。結婚して18く経っていたが、私が仕事に何を求め、どれほどをかけて技術をにつけてきたかを、孝志は本当のでは度も理解していなかった。
「私は嫁であるに技術者でもあるの。