"白木蓮の偽証" 第5話
ところが2004までに、その借はほぼ全額返済されていた。
「収入がないのに返済額が増えています」
沢田が言った。
沢子の融記録を調べると、2003から翌にかけて定期預を2回解約し、計180万円を現化していた。公平の座へ直接振り込まれた記録はないが、これまで何度か母親からを受け取っていたと考えれば説はつく。
ただし180万円ではりない。
そこで別の座が浮かんだ。
藤代優。
20031110。
失踪4。
窓で150万円を現で引きしている。
黒瀬はその付を何度も見た。
「わせれば330万」
「残りは本が何とかしたとして、かなりの額です」
問題は、優の150万円がどこへ消えたかだった。
公平の座には入っていない。
現のまま。
方。
「会いにこう」
今度の公平は、伊勢崎内の古い喫茶を指定した。作業着ではなくなポロシャツ姿で、窓際の席にで座っていた。黒瀬は男の顔を見た瞬、今回は話すつもりで来ているとじた。
「回、実のお母さんとは度も会っていないとおっしゃいましたね」
公平はのグラスを見た。
「あれは嘘です」
告はあっさりしていた。
27歳の、父親から母親の居所を聞きした。最初は捨てられたみをぶつけるつもりで柏尾へ向かったという。
「のまでって、呼び鈴を押すまで1くらいかかりました」
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「その何を?」
「庭のを見てました」
蓮だった。
沢子が玄関へてきた、公平の顔を数秒見つめた、突然泣きしたという。その姿を見て、公平は用してきたみ言をつも言えなくなった。
それからに数回、平の昼だけ会うようになった。
「優さんが帰省しない期を選んで?」
「はい」
「なぜ隠したんです」
公平はし苦い顔をした。
「母がそうしてくれと言ったからです」
自分は藤代へ嫁ぎ、先妻の子を育てるにいる。の庭の息子と会っていることを優にられたら申し訳ない、と沢子は言っていた。
黒瀬は聞いた。
「あなたはどういました」
「腹がちました」
公平は正直に答えた。
「なんであんたがそこまで慮するんだって。10以あのに尽くしたのに、まだりないのかって」
だが。
公平自も、母へろめたさを抱えていた。
度目に会った頃から、を借り始めたのだ。
10万。
30万。
50万。
計150万から200万円ほど。
「返しましたか」
公平は首を振った。
「円も」
黒瀬は本題へ入った。
「20031114。あなたは柏尾町にいましたね」
い沈黙の。
公平は頷いた。
「いました」
借返済のため、さらにを借りるつもりで母を訪ねた。からを乗り継ぎ、午10に柏尾へ着き、いつものように玄関ではなく勝から入ったという。
「優さんがいることはっていましたか」
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「りませんでした」
公平はこの質問だけはく否定した。
「ってたらかなかった。兄さんが帰るは母が教えてくれてました。その週は聞いてませんでした」
勝をける。
台所に沢子がいる。
公平の顔を見た瞬、母親は青くなった。
「帰りなさい」
声でそう言ったという。
だが公平は帰らなかった。
翌週が返済期限だった。
押し問答になり、声がきくなった。
すると奥のから、優がてきた。
初対面。
公平はそう言った。
「でも、あのは俺の顔を見ても驚かなかった」
黒瀬のペンが止まった。
「なぜそううんです」
「俺を見て、それから母を見て。何も聞かずに、分かった顔をしたんです」
優は公平へ言った。
「何の関係もないが、このへ来て母からを取るな」
公平は激昂した。
「俺が息子だ。あんたこそだろ」
沢子は台所の隅で泣いていた。
そこで話は暴力へ変わった。
公平は俯いた。
「台所に漬物桶がありました」
「はい」
「に、しのがあった」
公平は両を握りしめた。
「俺がそれを持ちました」
沢田の息が止まる。
「気づいたには、兄さんが倒れていました」
黒瀬はその言葉を聞いた。
初対面だったはずの男を。
公平は、
兄さん。
と呼んだ。
その、公平は沢子に言われるまま優のベージュのコートを着た。黒い鞄と携帯話を持たされ、柏尾駅からり列へ乗った。
京までけ。
鞄を捨てろ。
携帯話も持っていけ。
沢子にそう命じられた。
「なぜ従ったんです」