"保険金つき同居" 第6話
「母さん、まだ普通だぞ」
「だから何度も同じこと聞いたって言えばいいでしょう。薬も忘れる。夜にふらつく。財布を置いた所も忘れる。それくらい作れるわよ」
みよ子は唇を噛んだ。
自分を追いすだけではない。
自分の判断能力そのものを疑わせ。
を管理できない老に仕てようとしている。
「斗にも余計なこと言わせないでよ」
ゆかりが言った。
「最あの子、様子がおかしいから」
「分かってる。俺から言っとく」
「おばあちゃんにたくしなさいって言ったくらいで、あんな顔するんだから。ほんと子供よね」
そこで。
みよ子は初めて。
斗の態度の理由をった。
友達が来るから部へ入れ。
呂は最。
テレビをさく。
すべてが自の言葉ではなかったのかもしれない。
りとしみが混ざり、胸が苦しくなった。
だが。
その。
ゆかりが最に言った言が。
みよ子のからしみだけを消した。
「あとしよ。もに入ったし、保険もできたし、さえこっちに移せば全部終わるから」
録音を止めた。
みよ子は音をてず、自分の部へ戻った。
布団へ座っても体の震えは止まらなかった。
息子を育てた43。
夫と守った。
1500万円。
それらすべてが、のを次々と通り過ぎていった。
午2。
まだ泣いていた。
午3。
涙が止まった。
午4。
みよ子はノートをいた。
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聞いた会話を。
と緒に、言ずつき始めた。
そして最のに。
こう記した。
〈の朝も、何もらない母親でいる〉
優太夫婦は。
みよ子が鳴り込んでくるとっていなかった。
そもそも。
聞かれているとすらっていなかった。
だかららなかった。
翌朝から自分たちが相にするのは。
「何をされてもする70歳の母親」ではないということを。
午6。
みよ子はいつもと同じに起きた。
顔を洗い、くを塗り、仏壇へ茶を供えた。鏡を見ると目のはし腫れていたが、ゆかりが気づくほどではない。
「お父さん」
さな声で写真へ言った。
「今は、私の方でいてね」
7、ゆかりが台所へ入ってきた。
「お母さん、おはようございます」
昨夜「く逝ってくれればいい」と言ったから、いつもの柔らかな声がてくる。
みよ子は自分でも驚くほど自然に笑った。
「おはよう。よく眠れた?」
「はい。お母さんは?」
「ぐっすりよ」
ゆかりは何も疑わなかった。
優太も同じだった。
朝をべながらスマートフォンを眺め、勤には「母さん、今は病院とかないよね」と聞いた。
「今はへこうとってるの」
優太の顔ががった。
「?」
「のことでしね」
「何かあった?」
「したことじゃないわ」
みよ子はそれ以説しなかった。
がかけた、自分もをた。
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最初に向かったのは信用庫だった。
受取座を、以から持っていた別座へ変更する方法を確認した。しい暗証番号を設定し、通帳と印鑑は貸庫ではなく、が案内してくれた保管サービスについて相談した。
次に向かったのは、域包括支援センターだった。
「族と同居しているんですが、おを全部渡すように言われています」
みよ子は最初、それだけ話した。
担当した50代の女性職員、森は急かさなかった。活費を求されること、部にいるよう言われること、事やエアコンの使用を制限されていることまで聞くと、表が変わった。
「渡辺さん。昨夜、何か決定なことがありましたか?」
みよ子はスマートフォンをした。
「録音があります」
森はそので聞こうとはしなかった。
「まずコピーを取って、元データを消さないでください。それから、でご族と対決しない方がいいといます」
「私は逃げたくないんです」
「逃げるんじゃありません」
森は静かに言った。
「全な所から話をするんです」
その言葉が、みよ子の胸に残った。
午。
みよ子は内の法律事務所を訪れた。
担当した佐々という弁護士に、同居に至る経緯から説した。1500万円の宅資、活費、通帳の求、命保険らしい類、録音。
佐々は話を遮らなかった。
すべて聞き終えた、最初に尋ねたのはなことだった。
「1500万円をした、何か類は作りましたか?」
みよ子はしばらく考えた。