"特大おにぎりの恩返し" 第11話
「何だ」
「今から亜美さんのこと、ママって呼んだほうがいいの?」
瞬、返事に困った。
俺が決めていいことではないとったからだ。
しれた所にいた亜美も聞こえていたらしく、こちらを見た。笑ってはいたが、表の奥に緊張が見えた。
「太が呼びたいように呼べばいいよ」
俺が答えるより先に、亜美が言った。
「無理にママって呼ばなくていいからね。亜美でも、亜美さんでもいいよ」
太はし考えた。
それから。
「じゃあ今は亜美さんでいいや」
亜美は笑った。
「解」
その話は、それで終わった。
俺もから聞き返したりはしなかった。
くなった真由は太の母親で、その事実は誰かがしく族になったからといって消えるものではない。亜美自も、そこへ無理に入り込もうとはしなかった。
ただ、毎朝太を起こした。
宿題を見た。
忘れ物を緒に探した。
邪をひけば夜に何度も様子を見た。
運会では、俺よりきな声で応援した。
そういうが積みなった。
半ほど経ったある朝。
太が学へく直だった。
「ママ、筒どこ?」
亜美のが止まった。
俺も聞から顔をげた。
太だけは何も気づいていない。
「昨、自分で洗うって言ったでしょう。流しの横」
「ないよ」
「ちゃんと見た?」
「見たって」
「ほら、そこ」
「あった!」
そのまま太は筒を掴み、ランドセルを背負って玄関へった。
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「ってきます!」
「ってらっしゃい!」
亜美も反射に返した。
ドアが閉まった。
台所が静かになった。
俺は何も言わなかった。
亜美も。
しばらく。
筒が置かれていた所を見たままだった。
それからさく笑った。
「今……」
「ああ」
「ママって」
「言ったな」
亜美は元を押さえた。
涙を堪えているのが分かった。
「泣くなよ。太帰ってきたら恥ずかしいぞ」
「誰のせいよ」
「俺じゃないだろ」
そう言いながら。
俺もしだけ線を逸らした。
族になるというのは、枚をいてそのから変わることではないらしい。
卓を囲み。
同じことで笑い。
には喧嘩し。
名の呼び方すら、をかけて変わっていく。
亜美は。
そうやってしずつ。
俺たちの族になった。
そして「むすび堂」の方も、しずつ形を変えていった。
最初は週3だった。
それが週4になり。
夕方だけだった事提供に、休みと休みの昼が加わった。
宿題を見る学のボランティアも来るようになり、所の農が規格の野菜を持ってきてくれるようになった。俺の会社も、余った建材で棚やベンチを作った。
会社の連は最初、
「社、完全に奥さんに使われてますよ」
と笑っていた。
だが、その社員たち自が休になると棚を取りつけたり、壊れたを直したりするようになった。
「おら休めよ」
俺が言うと。
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「社こそ」
と言い返された。
堂にはいろいろな子が来た。
親が夜勤でで夕をべている子。
母親と暮らしで、母が帰るまでをつぶしに来る子。
単に友達と遊びたいから来る子。
そして、本当にで分にべられていない子。
亜美は決して、こちらから理由を聞かなかった。
「何で来たの?」
「でご飯ないの?」
「お母さんは?」
そういう質問をしない。
来た子には。
「いらっしゃい」
と言うだけだった。
事をす。
べ終えたら。
「またね」
それだけ。
ある夕方。
学3くらいの男の子がで来た。
いつも友達と緒なのに、そのはだった。
制の袖がし汚れていた。
「今は?」
亜美が聞く。
は頷いた。
「カレーあるよ」
「いらない」
「そっか」
亜美は無理に勧めなかった。
はテーブルへ座り。
の子がべているのをしばらく見ていた。
10分ほどして。
さく言った。
「やっぱりべてもいい?」
亜美は。
何も聞かず。
皿を持ってきた。
「盛り?」
はし迷い。
「普通」
「解」
しかし杯目をべ終えると。
「おかわり」
と言った。
杯目もべた。
さらに。
おにぎりをつ持って帰っていいかと聞いた。
亜美はつ包んだ。
は袋を見て。
「個でいい」
と言った。
「個はの朝」
「……」
「いらなかったら、誰かにあげて」
は。
何も言わず受け取った。
。
学と政の支援につながったと聞いた。
詳しい事を、俺はらない。
亜美も。
必以には話さない。
ただ、あのの夜。
堂を閉めたにで子へ座っていた。