"消えた金づる夫" 第1話
妻と娘は、何も疑わずにていった。
これから始まる楽しい旅のことしかにないのだろう。玄関で笑いながら荷物を確認し、最まで俺の方をまともに見ることもなく、そのままきなスーツケースを引いてていった。
その背を見送りながら、俺のではすでに全ての決着がついていた。
俺の名は敏文、42歳。2歳の妻と、学になる娘との3暮らしだった。
仕事は企業の会社員で、収入は同代のではい方だとう。都内の等にあるファミリー向けのマンションで暮らし、から見れば、仕事も庭も順調な男に見えていたはずだ。
けれど、俺自は何もから、この活を悔していた。
妻は結婚まで、穏やかで控えめな女性だった。価なものをねだったこともなく、俺の仕事が忙しいには「無理しないで」と配してくれていた。
ところが結婚してしばらくすると、しずつ態度が変わった。
最初は買い物の回数が増えただけだった。やバッグ、化粧品が増え、そのうちの回数もくなったが、俺は共働きでもない妻が事をしてくれているのだから、それくらいは構わないとっていた。
だが、妻にとって俺の収入は、使って当然のだったらしい。
ある、料のに座を確認していた妻が、ため息をつきながら言った。
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「今の料じゃ、なかなか貯できないよね」
俺は瞬、聞き違えたのかとった。
「いや、普通に考えれば分残るだろ」
そう答えると、妻は呆れたように肩をすくめた。
「今のことを考えたら、もっと必でしょ。もうし頑張って世してくれるとありがたいんだけどな。あと10万円くらい収が増えれば楽なんだけど」
冗談ではなかった。
自するつもりはないが、俺の収は同代の平均よりかなりかった。それでも貯が増えないのは、妻が毎かなりの額を使っていたからだ。
注したこともある。
「し使い方を考えてくれないか。これだけ収入があるのに、毎ほとんど残らないのはおかしい」
すると妻は、まるで俺の方が違っているような顔をした。
「私だけが使ってるみたいに言わないでよ。族のために必なものを買ってるんだから」
実際には、必なものだけではなかった。
しいバッグを買った数週に別のブランドバッグが増え、まだ使える靴が何もあるのにしい靴を買っていた。友とのランチやエステにも頻繁にかけ、それを指摘すれば「付きいだから」と言い返された。
それでも、俺は争うことが嫌いだった。
声をして言いうくらいなら、自分がしすればいい。そう考えているうちに、妻はますます俺を軽く見るようになっていった。
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娘がまれてから、その関係はさらに悪くなった。
さい頃の娘は、俺が仕事から帰ると玄関までってきた。休に公園へ連れていけばび、肩をねだったこともあった。
しかし成するにつれて、娘は妻と同じように俺へたい態度を取るようになった。
妻が俺の悪を言えば緒になって笑い、俺が何か注すれば骨に嫌そうな顔をする。学になる頃には、ほとんど会話もなくなっていた。
ある、族で事をしているだった。
娘はスマートフォンをいじりながら、何の触れもなく言った。
「あんたみたいな男が父親っていうことが、番恥ずかしい」
箸を持つが止まった。
「急に何を言ってるんだ」
「別に。そうっただけ」
妻は注するどころか、元を隠して笑っていた。
その、俺は初めてはっきりとじた。
こののに、俺の方は誰もいない。
俺が働いて賃を払い、活費をし、妻と娘が自由しないようにしている。それなのに帰宅しても謝されることはなく、むしろ邪魔なとして扱われていた。
それでも俺は婚しなかった。
娘がまだ学だったこともあるし、ここまで来たのだから何とか族としてやり直せないかという気持ちも、のどこかには残っていた。
だが、そんな俺の考えを完全に打ち砕く来事が起きた。
妻が浮気をしていたのだ。
しかも、娘までその事実をっていた。