"一万八千円の飯" 第3話
だが、その目には「がないなら最初から来るな」とでも言いたげながあった。
優馬は数秒、の顔を見つめた。
そして突然、話題を変えた。
「さん。このホテルで何働いています?」
「……3ですが」
「3ですか」
優馬は子の背にもたれた。
「じゃあ、川國彦が誰かはっていますよね」
の目がほんのわずかに変わった。
「当ホテルのオーナーであり、社です。それが何か」
「いはありません。ただ、川國彦は、自分のレストランでご飯杯が18,000円で売られているとっているのかなといまして」
個にい沈黙が落ちた。
そしては、優馬の予とは違う答えを返した。
「この価格は、川社ご自が承認されたものでございます」
優馬の笑みが消えた。
は自分が優位にったとったのか、さらに続けた。
「板メニューの価格設定については、社決裁をいただいております。ご納得いただけないのであれば、次回から別のお料理をご注文ください」
葵ができずにを挟んだ。
「社が決めたからって、異常な値段なのは変わらないでしょう」
は柔らかくをげた。
「ご満でしたら、正式な窓からお問いわせください。本のお事につきましては、提示価格通りお支払いいただくほかございません」
丁寧な言葉のつつが、逆にたく響いた。
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美が再び支払いを申したが、優馬はで止めた。
父が18,000円という価格を認めた。
その話を、優馬は信じていなかった。
父はホテルの評判を何よりもく考える男だ。料理杯で客に信を与えるような価格設定を、何の理由もなく認めるとはえない。
優馬はポケットからスマートフォンを取りし、父の番号へ話をかけた。
6回鳴ったが、ない。
もう度かけた。
それでもなかった。
午8い。父が会なら、話にられなくても議ではない。
だが、その、優馬はの元がわずかにがったのを見た。
――どうせつながらない。
そう確信しているの顔だった。
何かがおかしい。
優馬はスマートフォンをしまった。
「分かりました。今は払います」
が瞬、目を細めた。
優馬は財布から黒いクレジットカードを取りし、バインダーへ置いた。
「ただ、この価格を決めたに伝えておいてください」
そう言ってちがる。
「川優馬が、自分のホテルで18,000円の炊き込みご飯をべた。この件は、これで終わりにはしないと」
の瞳がきくいた。
が無識に握られ、喉仏がする。
何か言おうとしたが、言葉がない。
彼は優馬の顔をらなかった。
だが、「川優馬」という名が誰をするのかはっていた。
数分、は先ほどとは比べものにならないほど丁寧な態度でカードと領収を持ってきた。
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「ありがとうございました」
自らエレベーターまで見送り、くをげる。
扉が閉じると、葵がすぐに優馬を見た。
「あの、あなたのことってたの?」
「顔はらなかった。でも名はってた」
優馬は領収を折り、財布に入れた。
「それなのに『社が決めた価格だ』と言い切った。そこが気になる」
ホテルをた、8初旬の夜がぬるく頬を撫でた。
優馬は振り返り、夜空にるく浮かぶ「運ホテル」の板を見げた。
父が30かけて守ってきた板だった。
たった16,200円の差額が惜しいわけではない。
このホテルので、何かがおかしくなっている。
その夜、自宅へ戻った優馬はシャワーもそこそこに領収を机へ広げた。
そしてスマートフォンで撮していたメニューの写真を拡した。
18,000円という数字だけ、の文字より線が細い。
もわずかにかった。
のためグルメサイトで過のレビューを調べる。
数百件目を通していると、1かほどに投稿された写真が見つかった。
同じメニュー。
同じページ。
だがそこには、はっきりとかれていた。
――1,800円。
「やっぱり……」
優馬は子へく座り直した。
誰かがこの1かのにメニューを刷り直し、価格を10倍に変更したのだ。
しかも会計システムまで18,000円になっていた。
印刷ミスではない。
図な変更だった。
その、昼のの声が蘇った。
――川社ご自が承認されています。