"湖底の五本柱" 第14話
「だが、もし何かたら、あなた方全員にも説してもらうことになる」
役は言い返そうとしたが、背に控える隊の圧に押されたのか、を閉じた。
藤は作業員へ図を送った。
「始めろ」
がきした。
轟音が展望台に響き渡る。固まりかけたコンクリートが巨な爪で砕かれ、の破片がのへび散った。いがに流れ、捜査員たちは目を細めながらその様子を見守った。
藤は腕を組んでっていた。
のでは、相馬が壁に描いた5つの印が何度も浮かんでいた。
洞窟。
沢。
ダム堤体。
佐藤の遺体があった所。
そして、この展望台。
もしここに何もなければ、自分の推理は崩れる。だが藤の胸には、嫌な確信があった。茂蔵の計画は、あのの吹ので突然始まったものではない。もっとから、もっとく、鏡全体に根を張っていた。
作業始から1ほど経っただった。
削岩の音がに止まった。
オペレーターが顔を変え、のアームをゆっくりげた。砕かれたコンクリートの隙から、建設資材にはあり得ないが覗いていた。
黒にい濃紺。
それは布だった。
「をげろ」
藤の声に、現が斉にいた。
鑑識員たちがスコップとブラシをに穴へりた。破片をひとつずつ取り除いていく。作業がむにつれ、誰も声をさなくなった。
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い息だけが、静まり返った展望台に浮かんで消えた。
やがて、コンクリートのからの体が現れた。
男だった。
丸められるような姿勢で、まるで胎児のように台のへ押し込められていた。遺体はとセメントにまみれていたが、につけているが等なスーツであることはすぐに分かった。
顔を確認した瞬、ち会っていた県庁の役の1が腰を抜かし、そのに崩れ落ちた。
「黒田先……」
誰かが震える声で呟いた。
遺体の元は即座に特定された。
県議会議員、黒田剛作。
鏡ダム建設の最の推者であり、このプロジェクトのの支配者とも呼ばれていた男だった。
黒田は2から「急な公務で京する」と言い残して連絡を絶っていた。だが実際には、自らが推しめたダムを見ろす展望台の元に、柱のように埋め込まれていたのである。
藤は遺体を見ろしたまま、拳を握った。
検官の初見では、因は頸部圧迫による窒息。推定刻は、214の正午だった。つまり、寺たち3が黒いセダンでゲートを通過する約2に、黒田はすでに殺されていたことになる。
この発見により、事件の系列はきく組み替えられた。
田と佐藤は単なる被害者ではなかった。
目のない展望台で黒田議員が殺害された、その遺体をコンクリート打設の型枠へ押し込み、コンクリートで覆い隠したのは、現の作業員である彼ら以に考えにくい。
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を扱い、コンクリートを流し込む際のよさは、まさに現のの仕事だった。
そして、その指示をしたのは茂蔵だった。
藤は崩された台のにしゃがみ、砕けたコンクリート片をに取った。
たい塊の内側には、黒田の血がく染みていた。
「1500万円のは、これか」
彼はく呟いた。
田と佐藤は、黒田殺害と遺体隠しに加担させられた。あるいはで雇われた共犯者だったのかもしれない。が引きした1500万円は、への供養ではなかった。
報酬。
もしくは止め料。
だからこそ、あの龍鳴寺で田と佐藤は、に対して気にを求できたのだ。彼らはのみを握っていた。自分たちが黒田の遺体を埋めたことを警察に話せば、も終わる。
24枚目の写真に写っていた面は、を巡る脅しと交渉が決裂した瞬だった。
だが、茂蔵という老は、彼らの像をはるかに超えていた。
彼は最初から、共犯者である田と佐藤をかしておくつもりなどなかったのかもしれない。
5つの柱の計画において、彼らは便利な労働力であり、同に捧げられるべきでもあった。
黒田を「富」の柱として埋めさせ、その直に秘密をる田と佐藤を処理する。
すべては、計算された連続殺だった。