"湖底の五本柱" 第13話
緊急放流がわれたが、度狂ったの流れは簡単には戻らなかった。
事件は最悪の形で収束したかに見えた。
犯と目される物の。
の解は、彼の狂気じみた遺言によってなされた。
しかし、藤の胸には拭いれない違が残っていた。
なぜは、「相馬は逃げたが、まあいい」と言ったのか。
本当にそれで数がりるのか。
古文には「5つの柱」とあった。
寺、田、佐藤。これで3。
自を入れて4。
あと1りない。
が「2分働けば済む」と言ったのは、単なる比喩なのか。
それとも、まだ発見されていない何かがあるのか。
数、ダムの位が定し、ようやく現検証が能になった頃、藤のもとに1本の連絡が入った。
警察病院に入院している相馬賢の主治医からだった。
「警部、相馬さんが奇妙な絵を描き始めました」
「絵?」
「錯乱状態ので、壁に自分の血で描いたんです。5つの印を」
藤は病院へ急した。
隔の壁には、相馬が爪をてて描いた赤い図形があった。
それは、ダムの図だった。
そして5つの×印が記されていた。
1つは寺たちが発見された洞窟。
1つは田が埋められていた沢。
1つはが沈んだダム堤体。
1つは佐藤の遺体があった所。
そして最の1つ。
それはダムの底ではなく、完成したダムを見ろす展望台の位置に記されていた。
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藤はその所をっていた。
そこは翌、ダム完成式典に代わる追悼式がわれる予定の所だった。
そしてそこには、の歴史を刻んだ記碑が建てられることになっていた。
その記碑の台となるコンクリート。
それが打設されたのは、事件当の昼。
がり始める直だった。
藤の脳裏に、恐ろしい能性が閃いた。
もしの計画があのの夜だけで完結していたのではなく、もっとから始まっていたとしたら。
5つ目の柱は、最初からそこにあったのではないか。
まだ誰も気づいていない、事件の発端となる最初の体が。
藤は携帯話を取りし、鑑識課を呼びした。
「の式典を止させろ。そして展望台の記碑のを掘り返すんだ」
話の向こうで、鑑識課が戸惑った声をした。
「何を言っているんですか、警部。あそこはコンクリートで固められていますよ」
「だからだ。固まるに、何かが混ぜられた能性がある」
鏡失踪事件。
3の男が消えた物語は、まだ終わっていなかった。
真の恐怖は、のではなく、々の元に埋まっていたのである。
翌朝の鏡は、気なほど静かだった。
昨までを叩きつけていたはやみ、空にはい青が戻っていた。けれど、の空気はしも穏やかではなかった。ダムの位はまだく、底のい所はに覆われている。
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龍鳴寺の跡には巨な崩落穴が黒々とをけ、その周囲にはち入り禁止のロープが幾にも張られていた。
藤警部は、その景を瞥しただけでに乗り込んだ。
向かった先は、完成したダムを見ろす展望台だった。そこは本来、数に追悼式がわれる予定の所である。ダム建設で没する鏡の歴史を刻んだ記碑が設置されることになっており、その台は事件当の昼、が本格にり始める直に打設されていた。
展望台に到着すると、そこにはすでに型のコンクリートブレーカーと削岩が運び込まれていた。
県庁の役や建設会社の幹部たちは、現の端に集まり、りを隠そうともせず藤を睨んでいた。黒いコートを着た男が、元のを踏みしめながら詰め寄ってくる。
「藤警部、これはいったい何のつもりですか。追悼式の直に記碑の台を壊すなど、正気とはえません」
藤はヘルメットを被り直し、相の顔を見た。
「ここを掘ります」
「根拠はあるんですか」
「あります」
「何もなかったら、あなたの責任問題では済みませんよ。事にも報告します」
役の声は震えていた。りというより、恐怖にかった。藤はその表を見て、ますます確信をめた。
「何もなければ、私は辞表をします」
その言葉に、周囲の空気が瞬止まった。
藤は続けた。