"湖底の五本柱" 第11話
の目が、破壊ではなく完成であったことに。
血塗られた儀式による、真の鏡の完成。
そして、そのための柱は、3ではりなかったのだということに。
龍鳴寺の崩落から夜がけた。
吹は嘘のようにやみ、鏡は抜けるような青空に覆われていた。
しかし、景は変していた。
寺があった所には、直径30メートルにも及ぶ巨なすり鉢状の穴がをけ、その底では濁流が渦を巻いていた。
脈の噴は続いており、底の位は晩で数メートルも昇していた。かつての集落の部分は、すでにに浸り始めていた。
藤警部は、対策本部に設置されたホワイトボードので腕を組んでいた。
捜査員たちは疲労のを浮かべ、簡易子に沈み込んでいる。誰もが眠れていなかった。
「状況を理する」
藤の声は徹夜けの枯れた響きを含んでいたが、そのは鋭さを失っていなかった。
「現確認されている遺体は3名。作業員の田と佐藤。そして建設会社社員の寺だ。保護された相馬賢は精神鑑定と治療のため警察病院へ移送。最物である茂蔵は、依然として方」
茂蔵、72歳。
この事件の全ての鍵を握る老。
相馬の証言が真実であれば、彼は蓋骨陥没の傷を負った、自力で、あるいは何らかの方法で現から消えたことになる。
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そして、あの血文字。
「、底にて待つ」
藤がボードを睨んでいると、部が分いファイルを持って入ってきた。
「警部、鑑識から報告です。の自宅の蔵から押収した古文の解読が終わりました。どうやら鏡には、々のらない裏の歴史があったようです」
藤はファイルを受け取り、目を通した。
そこには、治初期にかれたとされるの記録の写しがあった。
「神のりを鎮めるには、つの柱を用す」
古びた文字は、かすれて読みにくかった。
だがは分に伝わった。
「つは技。つは力。つは富。つは若。そして最のつは」
藤の背筋に悪寒がった。
5つの柱。
柱のことか。
彼は今回の事件に関わったの顔をい浮かべた。
設計士の相馬賢――技。
肉体労働に従事していた作業員、田――力。
を欲した作業員、佐藤――富。
若社員であり、未来を嘱望されていた寺――若。
そして旧の元、茂蔵――。
偶然にしては、あまりにできすぎていた。
「は、最初からこのメンバーを選んでいたのか」
藤は呟いた。
偶然のトラブルに見せかけ、彼らをの閉ざされたへ誘い込み、儀式を遂しようとした。
だが計算違いが起きた。
田と佐藤の暴。
そして寺の凶。
それにより、殺しいという別の形の劇が発した。
しかし結果として、3がんだ。
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儀式は途までんでしまったのだ。
「警部、もう1つ気になることがあります」
部が図を指差した。
「崩落した龍鳴寺の脈ですが、この流はどこへ向かっているといますか」
「ダムだろう。の底に溜まるはずだ」
「ええ、最終にはそうです。しかし質調査の図面を見ると、この脈は度ある所を経由しています」
部の指が、建設のダム本体の基部を指した。
「そこには、点検用の監査廊が張り巡らされています」
「もしが脈の流れに乗って移した、あるいは脈沿いの古い坑をっていたとしたら……」
藤は図面を見つめた。
「奴は、ダムのにいるというのか」
その、本部の話が鳴り響いた。
ダム建設事務所の所からだった。
声は裏返り、らかにパニックを起こしていた。
「警部、変です。ダムの監査廊で異常が発しました」
「何があった」
「内部の震計と位計が異常な数値を示しています。それだけじゃありません。監カメラに映ったんです」
「何が映った」
「です。封鎖されているはずの最部、3階のゲート操作に誰かがいます」
藤は受話器を握りしめ、即座に命令をした。
「隊をせ。ダムサイトへ急する。だ。奴はまだきている」
午4。
建設の巨なコンクリートの壁、鏡ダムは、景のでたい塞のようにそびえっていた。
藤率いる特殊班は、ヘルメットと防弾ベストを装着し、ダムの端にある入から内部へ突入した。