"止められた12枚" 第9話
「私のお……私の老資が全部、賭けで消えたって?」
彼女は弓にびかかろうとしたが、すぐに制止された。
「この棒女。私のおを返しなさい!」
弓は悪びれる様子もなく、顔をげた。
「おばさんのせいよ。誰がそんなに馬鹿になれって言ったの? 元嫁のをかじってきてるくせに、ペントハウスなんて欲張るからよ。あなたたちがあまりにも簡単すぎて、詐欺をする気にもならなかったわ」
その言葉は、都の胸にく刺さった。
否定できない真実だった。
の卵を産む鳥だった彩子を自ら追いし、腐った宝である弓を掴んだのは、の誰でもない自分自の欲望だったからだ。
やがて判決がされた。
「主文。被告・健を懲役3に、被告・都を懲役16ヶに処する。また、被告・弓は同種の犯罪歴が数あり、犯質が極めて悪質であるため、懲役5に処する。被害額に関する賠償命令は別途うものとする」
槌の音が法廷に響いた。
3はそれぞれ異なる鳴をげた。
「嫌だ!」
「私のおを返して!」
「無実よ!」
弓でさえ、5という刑に顔面蒼になり、に崩れ落ちた。
彩子はそこでようやく席からちがった。
そして被告席に向かって、軽く礼した。
それは別れの挨拶だった。
2度と会うことはない。
自分のから、あなたたちを完全に切り捨てた。
広告
そう告げる、勝利の挨拶だった。
数ヶ、彩子の会社はさらに成を遂げていた。
横領されたの部を回収し、会社の財務をて直した彩子は、自の資産も投じて、ひとり親庭の自支援財団を設した。
記者発表の、くの記者たちが彩子を取り囲んだ。
「代表、変なご経験をされたにもかかわらず、このように寄付活に尽力される理由は何ですか?」
彩子はるい笑顔で答えた。
「悪い縁を断ち切ったら、良い縁が訪れるようになりました。私はただ、自分が受けた幸運を分かちっているだけです。そしては、自ら切りくにしか微笑んでくれないのだと悟ったのです」
そのの夕方、彩子は川の見える自宅のペントハウスのテラスで、ワイングラスを傾けていた。
がよかった。
スマートフォンをくと、刑務所からが届いているという通があった。見るまでもなく、健か都から送られてきた反省文だろう。おそらく、差し入れを求するような都のいいお願いがかれているに違いなかった。
彩子はためらうことなく、削除ボタンを押した。
そしてブロックリストに、健と都の名が入っていることを確認した。
「もう私のに、あなたたちはいない。永に」
彼女はワインをみ、華やかな京の夜景を見ろした。
くのどこかたい所にいるであろう彼らをうと、ワインのが層甘くじられた。
復讐とは、相を追いかけ続けることではない。
自分のを、最も完璧で幸せにすること。
それが最の復讐なのだ。
彩子は空になったグラスにもう度ワインを注ぎ、自分自に乾杯した。
「お疲れ様、彩子。これからが本当の私のよ」
夜空のが、彼女の未来を祝福するかのようにきらめいていた。
10溜まっていた胸のつかえが取れたには、ときめきと希望だけが満ちていた。
婚届に判を押した瞬、義実はしい嫁を歓迎した。
けれど彼らが本当に迎え入れたのは、幸運ではなかった。
欲望に姿を変えた破滅だった。
そして彩子は、もう振り返らなかった。