"止められた12枚" 第5話
その修羅の、弓はそろりとずさりした。
「あの、あなた、お義母さん。私、お洗いで友達におを借りてきます。しだけ待っていてください」
弓は振り返りもせず、宴会を抜けした。
もちろん、向かったのはトイレではなかった。
ホテルのだった。
けれど彼女は、ただ逃げるつもりではなかった。
「持ちだとって取り入ろうとしたのに、とんだ空っぽじゃない。でも、都の庫には貴属があるって言っていたわね。それだけでも頂いていかないと」
ホテルのロビーの静かな喫茶席。
サングラスをかけたまま、彩子はその全てを見守っていた。
彼女はティーカップを置き、たい笑みを浮かべた。
「さて、第1幕は終わりね」
くから、パトカーのサイレンが聞こえ始めた。
「愚かなたち。本番はこれからよ」
華やかだったSホテルの夜は、瞬で悪へと変わった。
パトカーの赤と青のがホテルので回転し、健と都は支配の通報によって警察署へ連れていかれた。
300万円。
その額の代を支払えなかった代償は、あまりにもきかった。
取調のたい空気ので、都はぶるぶると震えていた。まれてこの方、警察署の敷居をまたいだことなどなかったのだ。
「刑事さん、私たちはおを払う気がないわけじゃないんです。カードが止められているなんてらなかったんですから。
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の嫁がみを抱いてやったことなんです。うちの息子はちゃんとした事業ですし、しい嫁になる子は資産が何百億円もあるんですよ。どうか信じてください」
調を作成していた刑事は、疲れた目で都を見つめた。
「お母さん、そのしいお嫁さんとは連絡もつかないそうじゃないですか。それに息子さんの信用報を照会したところ、信用良の歩でしたよ。事業なんですよね?」
健はうなだれたまま、何も言えなかった。
プライドはとうの昔にに落ち、踏みにじられていた。
そのだった。
取調のドアがき、ハイヒールの音が響いた。
「あなた、お義母さん」
顔をげた健と都の目が丸くなった。
逃げたとっていた弓だった。
彼女は息を切らしながら、級ブランドのバッグを刑事の机のに置いた。
「申し訳ありません、刑事さん。急いで現を面していたもので、し遅くなりました。ここに会費と事代、全て持ってきました」
弓がバッグから札束を取りすと、刑事の表がわずかに緩んだ。
実はそのは、弓が詐欺のために用していた作資の部だった。ホテルのロビーをてすぐ質に駆け込み、自分のバッグやアクセサリーの部を売って作ったでもあった。
けれど、この愚かな親子の目には、弓が救世主に見えた。
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警察署をた3は、タクシーで健たちのへ向かった。
内で都は、弓のをく握ったままさなかった。
「ああ、私のい子。てっきり逃げたものとばかりって、どれだけ配したことか。やっぱりは見た目で判断してはいけないわね。彩子、あの女は私たちを警察に突きそうとしたのに、あなたはこうしておを持ってきて助けてくれた」
弓は目に涙を浮かべ、演技を始めた。
これが最の仕事だった。
このに残る最の財産を奪うための布だった。
「お義母さん、ごめんなさい。実は私、彩子さんに脅迫されていたんです」
都が息を呑んだ。
「なんですって? 脅迫?」
「はい。今ホテルでカードが止まったこと、あれは偶然じゃないんです。彩子さんが私の事業の資源を全部断ち切ってしまったんです。私が健さんと結婚すると言ったら嫉妬して、融関にを回したみたいで……私の座は全て凍結されてしまいました」
健が拳を握りしめた。
「なんだと。あいつ、本当に狂ってるな。なんで罪のない弓にまで嫌がらせをするんだ」
弓は々しく肩を震わせた。
「今すぐ融通できる現がなくて変なんです。までに支払わなければならない形があるんですけど、払えないと私は倒産してしまうの」
「倒産?」
都の顔が真っになった。
「そうしたら、あなたとの結婚もできません。最悪、私も警察にくことになるかもしれません」