"止められた12枚" 第2話
「あ、お帰り。なんでこんなに遅いの? お腹空いてるんだけど。ご飯は?」
彩子は返事をしなかった。
蔵庫をけ、ミネラルウォーターのボトルを取りす。喉が乾いていた。たいを気にみ干してから、ようやく健を見た。
「あなた、はないの? はないの? キッチンに炊飯器もあるし、蔵庫におかずもあるでしょう。私があなたの事の世話をするために稼いでいるとっているの?」
健は満そうに顔をしかめた。
「なんだよ。女がで働くようになると気がくなるんだな。夫が腹を空かせてるって言ってるのに、その言い方はないだろ」
健はちがる気もなく、再びスマートフォンに線を落とした。
「それにさ、このくれたカード、限度額オーバーだって言われたぞ。、友達とゴルフにくのに恥ずかしいだろ。限度額、げといてくれよ」
そのあつかましい求に、彩子の眉がかすかにいた。
何度目だろう。
健は自分で働く努力もせず、彩子のカードを当然のように使った。友とのみ代、趣の具、ゴルフ、、母親の買い物。彼の活は彩子の稼ぎのに成りっていた。
その、寝で話を終えた都が、嫌な顔でてきた。
彼女は先、彩子のカードで買ったばかりの級ブランドのワンピースを着ていた。首元にはしいネックレス、首には派なブレスレットがっている。
広告
「あら、帰ってたの。この言ったエステの施術代、まだ振り込んでないわよね。さんの奥様は、お嫁さんのおで若返りの施術を受けて10歳は若くなったっていうのに」
都はソファに腰をろし、当然のように続けた。
「あんたは稼いでるくせに、この姑のシワは見えないわけ?」
彩子はたい目で都を見た。
「お義母さん、にある化粧品もまだ使い切っていないでしょう。それに先、歯のインプラント代としてお持ちになった200万円はどうなりました?」
「あれは歯のためでしょう。肌は別問題よ」
都はで笑った。
「し稼いでるからって、姑を乞扱いするの? 私が事に育てた息子を、あんたみたいな女にくれてやったのがの悔だわ」
その言葉を聞いた瞬、彩子ので何かが静かに切れた。
3だった。
して結婚したはずだった。けれど、健は見た目だけのマザコンで、自できない男だった。都にとって彩子は嫁ではなく、おがてくる現自預け払いだった。
彩子はバッグのから、い封筒を取りした。
卓のに、音をてて叩きつける。
健がようやく体を起こした。
「なんだこれ?」
「婚届よ。判を押して」
健と都の目が丸くなった。
「婚?」
都が甲い声をげた。
「あんた、気でも狂ったの? 疲れておかしくなってるみたいだから、部で寝てなさい」
広告
彩子は真っすぐに都を見た。
「おかしくなんてありません。もうこれ以、あなたたちの世話はできない。いいえ、しないわ」
リビングの空気が凍った。
「私の血と汗の結晶であるおで、あなたたちが贅沢する姿はもう見たくない。このもも、すべて私の名義です。今すぐ1つでていってください」
都はわなわなと震えながら、彩子に指を突きつけた。
「なんてひどい女なの。この姑を脅すつもり? ていくのはあんたよ」
健も慌ててちがった。
「そうだ。ていけ。おがいなくても、俺たちが困るとってるのか? 母さんが言う通り、俺にはおより若くて綺麗で持ちの女がいくらでもいるんだ」
彩子は静かに頷いた。
「そうですか。どうぞ、その女性と幸せになってください」
彼女は封筒を健のに押しした。
「私はこのをていきます。その代わり、今をもってこのカードはすべて止します。も私の名義ですから、に返してください。分かりましたね」
健は瞬、何を言われているのか理解できないような顔をした。
だが彩子はもう説する気もなかった。
最限の荷物をまとめると、彼女は玄関へ向かった。背では都が鳴り、健が何かを喚いていたが、彩子の取りは議なほど軽かった。
ドアが閉まる瞬、彩子はった。
終わったのではない。
ここから始まるのだと。
ホテルにを移した彩子は、すぐに弁護士を通じて婚続きをめた。