"嘘葬りの豆腐店" 第9話
「突きばしたら、転んでを打ったんだよ」
「解剖結果では鈍器で殴られたとています。何で殴りましたか」
静は瞬たじろいだ。
「の棒だよ。くにあったの棒で」
「どこを殴りましたか。頂部ですか。部ですか」
静の目が揺れた。
彼女は凶器が何なのか、殴った部位がどこなのか、正確にはらなかった。息子たちを守ろうとして罪をかぶろうとしているだけだった。
若刑事は廊へて、藤に報告した。
「具体な供述が何もできません。殺害方法も遺棄の過程も曖昧です」
藤は頷いた。
「予通りだ。息子をかばっているだけだ」
その、藤は元の違法賭に入りしていた報へ話をかけた。
「19911116の夜、徹也を覚えているか」
話の向こうでし沈黙があり、やがて声が返ってきた。
「ああ、あのすっからかんになった男か。覚えてるよ。あの夜、をすって騒ぎしたからな」
「何頃だ」
「夜の10か11頃だったはずだ。を全部すって、からを持ってくるって鳴ってびしていった」
これで徹也のアリバイは完全に崩れた。
藤は第2取調へ戻ると、徹也のに座った。
「徹也さん。あの夜、賭にいたな。夜11頃、を全部すってへ向かった。証言がている」
徹也は俯き、の埃を見つめた。
「の領収は偽造。アリバイは真っ赤な嘘。
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さあ、次は何て言い訳する」
徹也は唇を噛みしめたまま、何も言えなかった。
最に、藤は静を揺さぶった。
「静さん。今回の制執、徹也さんが権利を盗んでギャンブルの借を作ったこと、本当にらなかったんですか」
静の目が丸くなった。
「どういうだい」
「6も、今回も、全部息子さんのギャンブルが原因です。あなたが嫁の遺体のに座ってまで守ったを、徹也さんはまた借の担保にしたんですよ」
静の顔が歪んだ。
藤はたく言った。
「あなたが守ってきた息子さんは、隣の取調で、母親のあなたに全部罪をかぶせようとしています。体誰のために沈黙しているのか、よく考えてください」
ドアが閉まると、静は井を見げた。
「徹也……おが……」
族という名で互いを守っていたはずの嘘が、今度は互いの喉元に突きつけられる刃へ変わっていった。
警察署の刑事課に、鑑識からの報告が届いた。
藤は力されたばかりのを掴み取った。
「被害者の蓋骨に陥没骨折を確認。打撃痕の形状は角形の鈍器によるものと推定される」
藤の線が素く次のページを追う。
現から発見された赤錆びた鉄棒の写真が添付されていた。古いボイラーの瓦礫のから見つかったものだった。先端部分は正確に角形をしている。
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「凶器はこれで違いない」
しかし報告の最には、こう記されていた。
「表面の腐が激しく、指紋の検は能」
藤は報告を机に置いた。
6というが、指紋を消しっていた。
凶器は見つかった。
だが、誰がそれを振りろしたのかを示す決定な証拠はない。
藤は窓際にち、しばらく考えた。
「指紋がないなら、作ってやるしかない。犯は、あの3のうちの誰かだ」
彼は机の引きしからいを取りし、乱暴な跡で何かをいた。それを茶封筒へ入れると、第1取調へ向かった。
静は丸2い取り調べで疲れきっていた。顔はやつれ、目だけがぎらついている。
藤は向かいに座り、茶封筒を机に置いた。
「静さん。お待ちかねの鑑識結果が届きました」
静はうつろな目で封筒を見た。
「何がたっていうんだい」
「決定なものです」
藤は赤錆びた角形の鉄棒の写真を取りし、静のへ置いた。
「この鉄棒、見覚えがあるでしょう。ボイラーの瓦礫のから見つかりました。被害者の蓋骨の陥没と、この鉄棒の先端の角度が致しました。これが凶器です」
静は顔を背けた。
「昔の豆腐に、そんな鉄棒の1本や2本、あるに決まってるだろう。私はらないね」
藤はを乗りした。
「でも面いことに、この鉄棒の持ちの内側だけは、豆油と垢で保護されていて錆びていなかったんです。
指紋が残っていました」
静の顔から血の気が引いた。
もちろん嘘だった。
実際には指紋などていない。