"8年目の生マイク" 第7話
午2。
充血したの目が、1つので止まった。
「1999312午347分。発信者、本田正弘。通話、2分34秒」
同じにむ夫婦が、け方4に話をしている。
しかも正弘は、妻がていったことに気づかなかったと供述していた。
はくつぶやいた。
「これを、特になしで済ませたのか」
彼の元に、たい笑みが浮かんだ。
200735、犯係のオフィスには張り詰めた空気が漂っていた。
は通話履歴のコピーをテーブルのに広げ、蛍ペンで引かれたを指差した。
「1999312午347分。本田正弘が妻さゆりにかけた2分34秒の通話記録だ」
佐藤は理解できないという顔で首をかしげた。
「1つ根のにむ夫婦が、わざわざけ方に話をした。しかも2分以。おかしいですよ」
は頷いた。
「この夫婦は仲がこじれて、2階と1階で別々に寝ていたらしい。それでもけ方4いに通話なんて、常識に考えて納得がいかない」
「当の担当者は何と」
は類の隅に残された殴りきを示した。
「特になし。誤発信か、とだけだ」
佐藤はいため息をついた。
「これ、事件の決定ながかりかもしれないのに」
は8の本田正弘の供述を取りし、佐藤のへ押しやった。
「ここを見ろ。本田正弘は、妻がかけたことには全く気づかず、朝8に起きて初めてをったとはっきりいている」
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佐藤の目が丸くなった。
「け方の通話記録と真っ向から衝突しています。自分の携帯から妻の携帯に話しているのに、気づかなかったなんて通りません」
「そうだ」
はジャケットを羽織った。
「本田正弘を呼べ。今度は徹底に突く」
翌の午、本田正弘が再び警察署に姿を現した。
端正なネイビーのスーツに、えられた髪。相変わらず乱れのない表だった。まるでテレビ局のスタジオへ入ると同じように、落ち着き払っている。
は向かいの子を示した。
「よくお越しくださいました。本田さん、どうぞ」
正弘は軽く会釈して座った。
「どういったご用件でしょうか。ニュースを見ると、再捜査が随分とんでいるようですが」
は通話履歴を本田のに置いた。
「1999312午347分。本田さん、あなたが奥様の携帯話にお話されていますね」
正弘の線が類のをなぞった。
表はほとんどかない。
「そうでしたか」
「2分34秒も通話されています。どんな話をされたんですか」
正弘はゆっくり首を横に振った。
「記憶にありません。8のことですから、何かの違いか、押し違えたのかもしれませんね」
は供述を広げた。
「こちらには、妻がかけたことにも気づかず、朝起きて初めてったとあります。け方に通話までしておいて、気づかなかったという説が通じるといますか」
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正弘の指が、膝のでわずかにいた。
「あのは、そう記憶していました。寝ぼけて話をかけたのなら、覚えていないこともあり得るのではないでしょうか」
「今はいしましたか」
正弘はを閉じた。
線がテーブルのの類へ落ち、またへ戻る。
「8というが過ぎました。記憶が曖昧になるのは当然でしょう。はっきりとは分かりません」
は子の背もたれにく寄りかかり、正弘をじっと見た。
10秒。
20秒。
オフィスのには、計の針の音だけが響いた。
先に沈黙を破ったのは正弘だった。
「まだ何かお聞きになりお聞きになりたいことはありますか。放送局の輩たちと約束がありますので」
は静かに頷いた。
「今はここまでにしましょう。いしたら、いつでもご連絡ください」
正弘はちがり、丁寧にお辞儀をしてドアへ向かった。
その背に、が言った。
「本田さん。どんな些細なことでも、いしたら必ずご連絡くださいね」
正弘は振り返らずに答えた。
「そうします」
ドアが閉まると、佐藤が息を吐いた。
「班、あの、本当に敵ですね。表つ変えずに、息をするように嘘をつく」
は煙を取りしながら、く言った。
「30カメラのできてきた男だ。表管理は本能で、演技は活の部なんだよ」
そのの夜遅く、犯係のドアが静かにいた。
入ってきたのは、やつれた顔の鈴匠だった。