"排水路の腕時計" 第3話
しかし、問題のトイレにはカメラがなかった。
当はプライバシー保護のため、監対象とされていたのだ。
さらに致命だったのは、午145分から午210分までの25分、建物裏のカメラ映像が欠落していたことだった。VHS媒体の交換切り替え作業に伴う空だと見られた。
つまり、健がトイレへ向かったと、その直の最もな帯が、記録から抜け落ちていた。
警察は売と堂の売伝票を照会した。昼のレシートは午138分で、当の現会計の記録とも致した。それ以、佐藤健名義のカード使用履歴は切なかった。
管理の記録によると、そのは曜で利用客がく、およそ200以がち寄っていた。午2にトイレ清掃をったスタッフは、「異常は何もなかった」と証言した。
当の利用両も追跡されたが、1998当はETCがなく、料所の記録も限定だった。ナンバープレート解析も試みられたものの、画質の悪さで読み取れたのは全体の30%ほどだった。
職員8、全員が事聴取を受けた。管理、堂スタッフ、売員、清掃員。だが、誰も健の姿を確には覚えていなかった。
休の午、勢の々が通り過ぎる所で、1の男だけが消えた。
事件発から1ヶ。
決定な証拠は何1つてこなかった。
映像は空。
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記録は断片。
目撃者の記憶は曖昧。
佐藤健という男は、記録の隙に溶け込むように姿を消した。
事件から3、元がさな記事を載せた。
「サービスエリアのトイレで男性失踪、3目もがかりなし」
い記事だった。だが、青サービスエリアを利用したことのある々には、きな衝撃を与えた。
1週、事件は全国ニュースでも取りげられた。
ケーブルニュースが「サービスエリア失踪ミステリー」という特集を放送した。現リポート、理学者のコメント、防犯体制への疑問。報番組はを煽るように、トイレに入った男性が消えた解さを繰り返し伝えた。
ラジオでは、妻・恵子の声が流れた。
「夫は族を残していなくなるようなではありません。どんなさなことでも構いません。何かっている方は教えてください」
その声は震えていた。
放送をきっかけに、警察にはくの報提供が寄せられた。
「似たを駅で見た」
「を歩く男性がいた」
「審ながまっていた気がする」
しかし、確認してみればどれも勘違いや虚偽報告だった。
マスコミは連のように報を続けた。警察の捜査状況、族の訴え、サービスエリアの全管理問題。社会関は急速にまり、防犯カメラの角や管理体制の甘さが批判された。
だが、1ヶを過ぎると報の方向はしずつ変わっていった。
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部のメディアは、健本の過を掘り返し始めた。庭の事、会社での悩み、保険の無、夫婦関係。根拠のない推測が記事になり、族は次被害に苦しんだ。
「本当に自分で消えたんじゃないのか」
「族に言えない事があったのでは」
そうした言葉が、恵子のにも届いた。
世論は2つに分かれた。
事件に巻き込まれた被害者と見る々。
そして、自ら姿を消したと考える々。
恵子は記者会見をき、通帳、保険証、勤務記録を公した。自発失踪説を否定するためだった。
「夫は族を切にしていました。仕事にも責任を持っていました。突然いなくなる理由などありません」
恵子はそう訴えた。
しかし、度まれた噂は簡単には消えなかった。
2ヶ、報は急速に沈黙した。
たな報がなく、世の関もれていった。事件はやがて面から姿を消し、未解決事件の1つとして記録のへ沈んでいった。
しかし、族にとって事件は終わらなかった。
失踪から3ヶ、佐藤の活は崩れ始めていた。
恵子は毎、待つことだけで消耗していた。夫が帰ってくるのか、それとも2度と帰らないのか。その分からなさこそが、最も苦しい現実だった。
活費も底をつき始めた。健の与は3ヶで支止となった。会社はに支援したが、法には健は扱いにできず、分な補償も受けられなかった。
恵子はパートの仕事を始めた。