"無能嫁のタワマン逆転" 第5話
それなのに夫は、何も見ようとしない。
「このまま俺のや貯をいつぶされてたまるか」
夫はさらに鳴りました。
私はどう言い返していいか分かりませんでした。
夫は、自分の老いも、も、焦りも、すべて私たちにぶつけているだけなのではないか。
現役ではなくなった夫は、自分の価値がなくなったとじていたのかもしれません。だからこそ、にいる息子を見て苛ち、妻である私にりをぶつけているのではないか。
けれど、それが分かったとしても、許せるわけではありませんでした。
私は自分なりに懸命、ずっとのことをやってきました。
子どもを産み、育て、夫の両親の介護も見取りも、私がになってやりました。徹が苦しんでいたも、そばで支えました。
文句も愚痴も言わず、自分でも驚くくらい頑張ってきたつもりでした。
でも夫にとって、それはすべて「失敗」だったのです。
無能な嫁。
失敗作の息子。
自分には何の責任もない。おたちは俺のをいつぶすだ。
夫はそうっているのでしょう。
そんなと、この先も暮らしていけるでしょうか。
私のも、残りはそうくないかもしれません。
でも、徹にはまだまだこの先のがあります。
このまま、自分を認めず、無能扱いする父親と共に暮らしていくことが、息子にとっていいこととはえませんでした。
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私は静かに息を吸いました。
そして、徹に向かって言いました。
「だったら、このをて、私たちだけできていけばいいんだわ。私だって、このにしがみつかなくてもきていける」
徹はし驚いた顔をしました。
「母さん、本気?」
「本気よ」
私は夫の方を見ずに答えました。
「ていきましょう。あのの価値観から自由になるために」
その瞬、私のにもう迷いはありませんでした。
徹はしばらく私を見つめていました。
それから、ふっと表を緩めました。
「母さんがそう言うなら、俺も本気で考える」
そのの夜、私は寝で1、引きしのを理しました。
古い通帳、保険証券、関係の類、の権利に関する資料。何も「夫の」とって暮らしてきた所でしたが、実際には婚姻に築いてきた財産がいくつもありました。
私には私の権利がある。
そううだけで、がし震えました。
方、徹は自で物件を探し始めました。
クラウドソーシングで評価を得たことで、企業案件の依頼は急増していました。元企業の業務アプリ、スタートアップの予約システム、既ツールの改修。複数の案件を同に抱えるようになっていたのです。
打ちわせはほとんどビデオ通話でっているようでしたが、々は駅の喫茶でクライアントと会うこともありました。
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「そろそろ、ちゃんとした仕事が欲しいなってってたんだ。ここじゃも呼べないし」
徹はパソコン画面を見ながら言いました。
私は横から覗き込みました。
「仕事を借りたらどうかしら?」
徹は首を振りました。
「母さんも緒にめるところがいい」
その言葉に、私はわず息を止めました。
徹は画面を見つめたまま続けました。
「打ちわせのを呼んでも恥ずかしくないところで、母さんもして暮らせる環境にしたいんだ」
胸がくなりました。
ずっと引きこもっていた息子が、こんなに向きに活をえようとしている。そのことが、たまらなく嬉しかったのです。
翌、徹はるい声で私を呼びました。
「母さん、いいところ見つけたよ」
画面に映っていたのは、都にい駅のタワーマンションでした。
2LDK。
1部は徹の仕事部、もう1部は私の部。リビングは来客にも対応できる広さがありました。セキュリティも設備も申し分なく、買い物も病院も徒歩圏内です。
「母さんと緒にむなら、便利でなところがいいからさ」
私は画面を見ながら、現実が湧きませんでした。
まさか、セレブながむと話に聞いていたタワーマンションに、自分がむことになるなんてにもっていませんでした。
「層階だし、そんなに賃はくないんだよ」
徹は笑いました。
私はいところがあまり得ではないので、むしろその方がありがたいといました。