"無能嫁のタワマン逆転" 第4話
でも、夫がまた徹にひどい言葉をぶつけないよう、まずは私からし反応を見てみようといました。
夕の、夫がお茶をんでいるに、私は静かに切りしました。
「ねえ、徹のことだけど」
夫は湯呑みを置くなり、そうに眉をひそめました。
「あいつの話はするな。愉だ」
私は言葉を失いました。
「でも、徹は今……」
「聞きたくない」
夫は私の言葉を遮りました。
その、私はそのことを徹に話しました。
徹はししげに笑いました。
「もういいよ。俺も父さんに理解してもらおうなんて、もうわない」
「でも、あなたはちゃんと仕事をしているのに」
「父さんにとって仕事って、会社に通勤して、料をもらうものなんだよ。宅でフリーで仕事をするなんて、説しても認めてくれないんじゃないかな」
徹は苦笑しました。
「父さんって昔から正社員信仰みたいなのがあるよね。とか官公庁とか、企業とかじゃないと認めないみたいな。自営業とかフリーランスって聞いただけで、馬鹿にしてくるとうんだ。そういうの、正直もううんざりなんだよね」
確かに夫にはそういうところがありました。
徹がIT企業に就職が決まったでさえ、「なんだ、そのわけの分からない会社は」と言っていたのを覚えています。
結局、私は夫に何も言えませんでした。
夫には夫なりのプライドがあるのか、息子の話を聞こうともしないし、ろうともしません。
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夫にとって徹は、無職の引きこもりで、親のスネをかじってきている息子のままでした。
そうして、徹が会社を辞めてから10が経ちました。
そのに息子は変わりました。
仕事もして、自信も取り戻し、自分の力で収入を得るようになりました。
けれど夫だけは、10のまま、息子を見し続けていたのです。
そしてその歪みは、夫が完全に退職したことで、はっきりと表にることになりました。
「再雇用も終わったな」
ある、夫がぽつりと呟きました。
夫は75歳。関連会社での再雇用期も終し、本当に完全な退職を迎えたのです。
昭の働き方を支えた典型な企業戦士だった夫にとって、現役を引退することは、自分の価値を失うような喪失を伴ったのでしょう。
それまで夫は、仕事がありました。
朝起きて、スーツに着替え、決まったにをる。帰宅すれば「疲れた」と言いながら卓に座り、私が用した夕をべる。その流れが、夫にとって自分の価値を確認するものだったのかもしれません。
けれど、完全に退職してから、夫は1にいるようになりました。
にいるが増えると、以より神経質になりました。洗濯物の干し方にをし、掃除の順番に文句を言い、蔵庫のまで確認するようになりました。
「噌がないんじゃないか」
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「聞の置き方が悪い」
「昼飯はまだか」
今までのことを何もしてこなかったのに、だけはすのです。
私は最初、退職したばかりで落ち着かないのだろうとってしていました。
でも、夫が1にいることで、徹と顔をわせる会が増えました。
どんなにお互い避けていても、同じで暮らしていれば完全には避けられません。お呂、トイレ、台所、廊。どこかで顔をわせてしまいます。
ある、夫は突然、トイレからてきた徹を鳴りつけました。
「独で無職で、45にもなって親のスネをかじってる男なんて、として終わってる。そんな奴は俺の息子じゃない」
徹の顔から、すっと血の気が引きました。
私はとっさにを挟もうとしました。
「徹はちゃんと……」
しかし夫は私の言葉を遮りました。
「甘やかしてきたおが悪いんだ。息子の教育に失敗した無能な嫁と、スネかじりの息子なんてに置いておけるか。2まとめてていけ」
その言葉を聞いた瞬、私はそのにち尽くしました。
徹の目がきくかれていました。
りなのか、しみなのか、諦めなのか。息子の表は、言葉にならないものをこらえているようでした。
体、何をどうすれば、このに認めてもらえるのでしょう。
徹はもう働いています。
に必とされ、自分の力で収入を得て、にもうとしています。