"無能嫁のタワマン逆転" 第3話
徹はし笑って首を振りました。
「料理も嫌いじゃないけど、そうじゃなくて。システムとか、ツールとか。の会社のことをいすと悔しいけど、このままじゃ終われない気がする」
その言葉を聞いた、私は胸の奥がくなるのをじました。
徹は元々、IT企業でシステム発のリーダーを任されていたほどの実力者でした。学代から成績優秀で、卒業にはいくつもの企業から内定をもらった息子です。
「だけど、確実にくものを作るのが好きなんだ」
若い頃、徹がそう言っていたのを覚えています。
けれど、どれほど能力があっても、会社という所には関係があります。徹は優しく、自己主張をあまりしない性格でした。理尽な文句を言われても、無理な仕事を押し付けられても、黙々とこなしてしまうタイプでした。
徹はくを語りませんでしたが、同期に嫉妬されたり、柄を横取りされたり、嫌がらせのようなことをされたりもしていたようです。
そんな息子が、自分から「また作りたい」と言ったのです。
私は言葉を選びながら尋ねました。
「無理はしないでね。でも、あなたがやってみたいなら、しずつ始めてみたらどうかしら」
徹はさく頷きました。
きっかけは、元同僚の1からの連絡でした。
「業務改善のツールを作れないか」
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と相談されたのです。
最初は、徹もそうでした。パソコンのに座っても、しばらく画面を見つめたままけないもありました。かつての職での嫌な記憶が、急に蘇ることもあったのでしょう。
けれど、ので自分のペースで取り組む仕事は、以とは違っていました。
誰かに鳴られることもありません。無理な納期を押し付けられることもありません。必としてくれるとだけ、やり取りをすればいいのです。
徹はしずつプログラミングに取り組み始めました。
最初は、自分で作った便利ツールを無料配布し、SNSに投稿するところからでした。
「使いやすいですね」
「こういうのを探していました」
「仕事がかなり楽になりました」
そんな声がしずつ増えていきました。
徹は画面に届くコメントを見ながら、久しぶりに嬉しそうな顔をしました。
「母さん、らないから謝されるのって、変なじだけど嬉しいね」
「それだけあなたの作ったものが役にっているってことでしょう」
私がそう言うと、徹はし照れたように笑いました。
やがて、企業や個から直接依頼が来るようになりました。
「こういう管理ツールは作れますか」
「予約システムの簡易版が欲しいです」
「社内の集計作業を自化したいのですが」
徹は最初、慎に1件ずつ受けていました。
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メールの文面を何度も読み返し、見積もりをすにもをかけていました。
でも仕事をねるうちに、徹の表はるくなっていきました。
「よりやりがいがあるかもしれない。自分のペースで、必としてくれるとだけ仕事ができるって、こんなに適なんだな」
そう言って笑う息子を見て、私はの底からしました。
徹が会社を辞めてから、3が過ぎた頃でした。
その、徹はフリーのシステムエンジニアとして、かなりの収入を得られるようになりました。クラウドソーシングでも評価を得るようになり、今では企業向けの業務アプリや、規模な予約管理システムなどを発し、に数件の受注をこなすようになりました。
アプリの部には料プランもあり、定期な収入も入ってくるようになりました。
収入面では、サラリーマン代と同じくらい、期によってはそれ以になることもあるようでした。
息子はもう45歳です。
仕事もしているし、ちゃんと自してきています。
けれど、夫はその現実をりませんでした。
いえ、ろうとしなかったのです。
ある、私はい切って息子に言いました。
「ねえ、あなたももうちゃんと仕事をしているんだし、お父さんにもきちんと話した方がいいんじゃない?」
徹はしばらく黙ってから、ゆっくり頷きました。
「うん。そうだね。父さんにも話してみるよ。ちゃんと働いてるって」
私は、これで夫もしはするだろうといました。