"深淵に沈んだ家族" 第4話
今では、その絵柄が墓標のように見えた。
「を確認します」
黒田警部が言った。
運転席のドアはに積まれたのみで潰れていたが、鑑識員が慎にこじけた。属が鳴のような音をてた。
懐灯のが内に入る。
座席はまだ残っていた。布は破れ、ネズミが巣を作った跡があった。ダッシュボードは湿気とで歪んでいた。
そして助席とセンターコンソールのに、さなのヘアゴムが挟まっていた。
私は息を止めた。
「あれは……エナのものです」
黒田警部はピンセットでそれを取りし、証拠品袋に入れた。
「DNA鑑定をします」
「分かっています」
私は言った。
「でも、違いありません」
エナは髪にとてもうるさかった。お気に入りののヘアゴムをなくして、1泣いたことがある。私はドラッグストアで同じものを買ってやった。
部座席からは、さらに族の痕跡が見つかった。
サラがんでいたとわれるパックのジュース。
母の恋説らしい文庫本。
そして、のさな象のぬいぐるみ。
何も抱きしめられて擦り切れていた、エナの宝物だった。
「彼女は、これを自分から置いていくはずがありません」
私は言った。
「もしからりたのなら、絶対に持っていったはずです」
黒田警部はぬいぐるみを静かに袋へ入れた。
「ご族の習慣について、いせることはありますか。
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どうしてここにたどり着いたのかをるがかりになるかもしれません」
私は、あのの朝を必にい返した。
「父は几帳面でした。ルートを図で確認し、気予報も見ていたはずです。気まぐれで寄りするではありません」
「目は?」
「龍泉洞方面です。緑川キャンプを予約していました。毎っていた所です」
「途で必ず寄る所は?」
記憶が蘇った。
「国4号線沿いのの駅根です。レストランとガソリンスタンドがあって、母がそこのパイを好きでした。毎そこでを伸ばし、トイレにき、スナックを買っていました」
黒田警部はメモを取った。
「そこまで到着していたか確認します」
へ戻ると、別の鑑識員が彼女を呼んだ。
陥没穴から約50mれた森のだった。を払った所に、を積んだ焚き跡のようなものがあった。錆びた具や、古いキャンプ用品の残骸も散らばっていた。
その奥に、製の字架がっていた。
化し、になった粗末な字架。
名も付もない。
ただ森のに、ひっそりとっていた。
「いくつありますか」
黒田警部が尋ねた。
鑑識員は周囲を指した。
「今のところ6つです。約6m隔で、列のように並んでいます」
私は字架を見つめた。
6つの墓標。
6つの族。
いや、それ以かもしれない。
その、私のスマートフォンが鳴った。
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伯母の恵子だった。
「純平、ニュースで聞いたの。族のが見つかったって、本当なの?」
私は森の、パトカーと鑑識材と粗末な字架を見回した。
「うん。恵子さん、本当だよ」
話の向こうで、伯母は言葉を失った。
しばらくして、震える声で言った。
「昨、古い類を理していたら気になるものを見つけたの。お父さんがあのを買ったの、鈴さんののレシートよ」
私の識が鋭くなった。
「それがどうしたの」
「レシートの付が、715だったの。でも私は、お父さんから6に買ったと聞いていた気がしていたの。の旅の計画を話していて、しいでキャンプにきたいって言っていたから」
「それだけ?」
「もう1つ。旅の数週、お父さんは何か配しているようだったの。聞いたら、のトラブルだと言っていた。でもしく買ったばかりなら、おかしいでしょう?」
話を切ると、私は黒田警部のもとへ戻った。
「族の失踪は偶然じゃなかったといます」
私はそう言った。
「を売った鈴達也を調べてください。父が何かを配していたなら、そしてそれがに関係していたなら、鈴は族の旅計画について、るべき以のことをっていたかもしれません」
黒田警部は表を変えずにうなずいた。
「すぐに元調査をかけます」
私は陥没穴を見ろした。
20の疑問への答えは、錆びたのだけでなく、まだきているたちの記録と記憶、そして秘密のに埋まっている。