"半月傷の弟" 第4話
失踪届の控え。
兵庫県警の報告。
聞き込みのメモ。
図に印をつけた捜索範囲。
20以、それらを処分せずに保管してきた。
蒼太は敬吾の話を聞きながら、自分の記録をねていた。
滋賀県の国で発見された、推定18歳の元男性。
部傷による記憶喪失。
発見当、所持品なし。
警察は周辺での事故や事件の報を照したが、直接結びつく失踪届は確認されなかった。
そう説され、蒼太はそれを疑ったことがなかった。
自分には族がいないのだと、自然に受け入れてきた。
しかし敬吾ので資料を見ていると、その受け入れ方そのものが、誰かの見落としによって作られたものだった能性が浮かんできた。
敬吾は、弟の特徴を1つずつ確認するように話した。
。
血液型。
目元の形。
そして肩甲骨付にある半型の傷。
「学の、自転で転んだ傷です。舗装で倒れて、コンクリートで擦った傷が独特の形に残りました」
敬吾は古い記録を1枚取りした。
失踪届と共に提された体特徴の覧だった。
そこには、肩甲骨付に半型の傷あり、と記されていた。
母親が何度もその傷を見ていたこと。
族写真にも、その傷がわずかに映り込んでいること。
敬吾は細かく覚えていた。
蒼太は自分の肩をいした。
それは鏡で確認できる位置にあり、これまで特別なを持たなかった。
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ただ昔の怪として説され、く考えたことはなかった。
「事故、医師からは幼期の怪だろうと言われました」
蒼太は静かに言った。
「でも、記憶がないので、確かめようがありませんでした」
敬吾は頷いた。
「似ているからといって結論をすことはしません」
彼は何度もそう繰り返した。
、期待と失望を繰り返してきた経験が、その慎さを作っているのだろう。敬吾は弟に似た物を何度も追い、DNA鑑定までんで否定されたこともあったという。
そのたびに希望を閉じ、またわずかな報でく。
そういう循環を、20以続けてきた。
それでも今回、蒼太を見た瞬、い違を覚えたという。
顔ちの致だけではない。
齢。
発見所。
期。
滋賀県の国という言葉は、敬吾の記憶のに残っていた捜索範囲となっていた。
「当は今ほど報共がっていませんでした」
敬吾は資料をめくりながら言った。
「兵庫県の失踪届と、滋賀県の元事故被害者の報が、すぐに結びついたとは限りません。県をまたいだ照は、担当者の判断や個別の問いわせにされる部分がきかった」
蒼太は初めて、自分のが政の隙に落ちた能性を識した。
18歳以の自分をる者が現れなかった理由。
それは、単純に誰も探していなかったからではなく、探していた声が届かなかったからかもしれない。
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もしそれが事実なら、23というは、偶然と制度の遅れによってまれたことになる。
敬吾はさらに資料を見せた。
失踪当の写真もあった。
の制姿。
族で撮った集写真。
文化祭のスナップ。
蒼太はその写真を見るから、指先がたくなるのをじた。
自分に似たが、森田優としてそこに記録されているかもしれない。
だが、似ていることと同物であることは別だ。
蒼太は何度も自分に言い聞かせた。
で決めてはいけない。
そうえばうほど、胸の奥はざわついた。
DNA鑑定の予約は敬吾が配した。
必類の記入は簡潔だった。
だが蒼太は、本籍欄でを止めた。
政に設定された戸籍。
実のない所。
そこに別の正解がある能性。
その現実は、静かな圧力として迫ってきた。
類をき終えた、蒼太は夜の業務に戻った。
をらせながら、敬吾の話を反芻した。
森田優。
失踪。
両親の事故。
半型の傷。
23の捜索。
自分の倒産と庭の崩壊という現実に、たな能性がなった。
希望という言葉を、蒼太はまだ受け入れられなかった。
だが、誰かに探されていたかもしれないという事実は、彼の内側に確かな揺れを残した。
族がいないと信じてきたに、別の線が引かれようとしている。
敬吾は言った。
「もし違っていても、無駄ではありません」