"お年玉泥棒の末路" 第5話
私は責任ある仕事をしてるし、わざわざを引っ張る男なんか必ないの」
8歳の子どもに対して、ずいぶんげない答えだといました。
文さんは眉をひそめ、修司さんも珍しくきつめの調で言いました。
「姉さん、そういう性格だから結婚できないんじゃないの」
綾音はきょとんとした顔で、さらに言いました。
「無能って、役にたないってことでしょ。でもママのご飯おいしいよ。おばさんもいつもべてるじゃん」
文さんがすぐにうなずきました。
「そうよ。直美さんは私よりお料理がなくらいなのよ」
修司さんも続きました。
「そうだよ。姉さんなんか、ここでべる以はだろ」
美佐子さんは顔を引きつらせて黙り込み、それ以何も言えなくなっていました。
娘の無邪気なパンチの破壊力に、さすがの美佐子さんもたじたじでした。
最では綾音の響なのか、文さんも修司さんも以よりはっきり言うようになっていました。
私もいつか、しは自分の見を言えるようになりたい。
そうっていました。
そして、その会はいがけない形でやって来ることになったのです。
末、美佐子さんから話がありました。
私は台所でおせち料理の準備をしている最でした。黒豆の加減を見ながら話にると、美佐子さんのるい声が聞こえてきました。
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「あ、直美さん? 私、今に来てるの。お産買って帰るから、おせち作っておいてね。31に取りにくわ」
それは毎のことでした。
美佐子さんは晦にやって来て、当然のように私と文さんが作ったおせち料理を箱に詰めて持って帰るのです。
今はお産があるだけまだましだといました。
ただし、それが正々の劇を呼ぶとは、そのの私はにもっていませんでした。
おせち料理自体は、ついでと言えばついでです。族分を作るにしめに作ればいいので、が倍になるわけではありません。
それでも、毎当然のように頼んできて、ろくに謝の言葉もないのはどうかとっていました。
31、美佐子さんは予定通りやって来ました。
には、産だというハムの詰めわせを持っていました。
「級品なのよ。ワインにぴったり」
そう言って胸を張ると、私たちが用したおせち料理の箱を当然のように持って帰りました。
文さんはし困ったように笑い、修司さんはため息をついていました。
私たちは、とりあえずそのハムをありがたく受け取り、おせちの品として卓に並べました。
お正の卓は、いつもなら楽しいです。
かまぼこ、黒豆、栗きんとん、煮しめ、伊達巻。文さんはべることが好きで、特にお正料理を楽しみにしていました。
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ところが、その夜のことでした。
文さんが突然、激しい吐き気と腹痛に襲われたのです。
顔がみるみる悪くなり、や汗が額に浮かびました。
「お母さん、丈夫ですか」
私が駆け寄ると、文さんはお腹を押さえながら苦しそうにうなずきました。
修司さんがすぐにをし、私たちは病院へ向かいました。
医師の診断は、あたりでした。
「血圧もしめですし、数の入院が必です」
そう言われ、文さんは点滴治療を受けることになりました。
私も修司さんも綾音も、特に異常はありませんでした。同じものをべても、当たると当たらないがいるのだそうです。
文さんは、タイミング悪く当たってしまったのでしょう。
お正々の入院に、私たちは本当に胸が痛みました。
病のベッドに横たわる文さんは、何度も申し訳なさそうに言いました。
「迷惑かけてごめんなさいね。せっかくのお正なのに」
私は首を横に振りました。
「お母さんが悪いんじゃないですよ。丈夫です。すぐ良くなりますから」
修司さんも、綾音も、文さんを励ましました。
けれど、文さんはやはり寂しそうでした。
「せっかくいかまぼこを買ったのに。栗きんとん、べたかったわ」
病でそんなことを言ってため息をつく文さんを見て、私はわず苦笑しました。
文さんは、かなりいしん坊なのです。