"消えた人妻と15年の嘘" 第2話
は帳をき、健の様子を観察した。
「奥様と最に交わした会話は何でしたか」
「平凡なものでした。買い物にってくると言って……9に夕飯を緒にべようと」
「最、夫婦で論になったことはありませんか。あるいは奥様に変わった様子は」
健はすぐには答えなかった。
目線を落とし、唇を噛んだ。
その沈黙を見て、はペンを止めた。
「何か、当たりがあるんですね」
健はさく息を吐いた。
「実は最、妻の様子がしおかしかったんです」
「どのように」
「夜に何度も目を覚まして、窓のを見ていました。まるで誰かが自分を見張っていると考えているようでした」
はその言葉を帳にき込んだ。
失踪から、ゆみは恐怖をじていた。
それはな報だった。
しかし同に、は夫の反応にも違を覚えていた。健は妻が誘拐されたとく主張している。あまりにも確信がい。普通なら混乱や疑が入り混じるところだが、彼のでは最初から誘拐と決めつけているように見えた。
は現を再確認した。
買い物カゴは倒れ、が散乱している。鍵はのくに落ちている。争った痕跡のようにも見えるが、決定なものはない。
「防犯カメラを確認しましょう」
スーパーの事務所に入り、その夜の映像を再した。
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午9頃。
佐藤ゆみが買い物カートを押して駐へ向かう姿が映っていた。彼女は何度もろを気にしていた。会計を終えた客が駐へ戻るだけにしては、らかに落ち着きがない。
へ向かう直、彼女は急にち止まった。
そして振り返った。
その、カメラの角に入り、姿は消えた。
映像はそこで途切れていた。
「肝なところが映っていないか」
が画面を見つめていると、スーパーの員が事務所の入にった。
「あの……そのお客様のことなんですが」
が振り返る。
「何か気づいたことがありますか」
員はそうに両を握った。
「今、し変でした。お会計の、がひどく震えていたんです。それに、しきりにろを振り返っていて」
「誰かに追われているように見えましたか」
「はい……それから、もう1つ変なことがあって」
員は言葉を選ぶようにして続けた。
「会計をしながら、携帯話で誰かにメールを送っていました。急いで何かを打っているように見えました」
は眉を寄せた。
「携帯話ですか」
佐藤健は、妻は携帯話を持っていないと言っていた。
また1つ、話がい違った。
は佐藤ゆみの元と過を調べ始めた。
だが、そこでさらに解な事実がらかになった。
佐藤ゆみの公な記録は、3からしかしなかった。
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それ以の履歴が、ほとんど見つからない。
まるで彼女は、3に突然この社会に現れたようだった。
さらに座の履歴から、奇妙な送が見つかった。
毎15、決まって10万円。
送先の名義は、渡辺恵子。
過1で計120万円が、同じ相へ送られていた。
は佐藤健を呼び、送記録を見せた。
「渡辺恵子という物をごじですか」
健は目を見いた。
「いいえ。初めて聞く名です」
「奥様は毎10万円を送していました」
「そんなはずはありません。うちは計が裕福なわけではありませんから」
健の反応は困惑そのものだった。
だがには、どこかぎこちなく見えた。
本当にらないのか。
それとも何かを隠しているのか。
捜査は、佐藤ゆみのられざる過へ向かってみ始めた。
送先である渡辺恵子を探すため、警部補はへ協力を求めた。
しかし、そこでも解な事実が判した。
渡辺恵子という座は、していなかった。
送記録は確かに残っている。毎15、10万円ずつ振り込まれている。だが受け取り先として登録されているはずの座が、側の確認では見つからない。
「記録はあるのに、座がしない……」
は資料を見つめた。
理屈にわなかった。
誰かが図に、の流れを隠しているのか。
それとも、佐藤ゆみ自が何か特別な方法で送していたのか。
その、別のがかりが現れた。
スーパーの清掃員、田義子がな証言をした。
「あのお嬢さん、その夜、誰かと話で話していましたよ」