"雪夜の妻" 第3話
「寒かっただろう。よく頑張ったね、由美」
運転席のろの席から、優しくい声が聞こえました。
そこに座っていたのは、グループの会であり、私の祖父である誠でした。
78歳になる祖父は、私がをた6よりもしだけ髪が増えていました。けれど、私を見つめる差しは昔としも変わらず、温かく包み込んでくれました。
「おじい様……ごめんなさい。ずっと連絡もしないで」
私がくをげると、祖父は静かに首を横に振りました。
「謝る必はまったくないよ。由美が自分で選んだだ。私はただ、おがどこかで笑ってきてくれれば、それで良かったんだよ」
祖父のきくし皺のあるが、私のえ切ったをしっかりと包み込みました。
そのの温かさに触れた瞬、私のでずっと張り詰めていた糸が、ふつりと切れるのをじました。
涙が溢れそうになりましたが、私はぐっと堪えました。隣では桜がしたように私のコートの裾を握りしめ、静かに眠り始めていたからです。
「桜ちゃんも怖いいをしたね。でも、もう丈夫だよ」
祖父はそう言うと、内に用されていた温かいブランケットを桜のさな肩にそっとかけてくれました。
私はずっと、自分の本当の分を隠してきてきました。
全国にホテル、商業施設、産を展するグループ。
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その会の孫娘という肩きは、私にとってあまりにもすぎるものでした。
幼い頃に両親を交通事故でくした私にとって、1番欲しかったものはおや位ではありません。
曜には族で公園にき、夕方には緒にスーパーで夕飯の買い物をする。
そんな、ごく普通のささやかで温かい庭でした。
私が健と会ったのは、彼がまださな会社で必に営業にり回っていた頃です。
当の健は裕福ではありませんでした。けれど、まっすぐで誠実なに見えました。
私の柄も預残も関係なく、私というそのものを見てくれていると信じていました。
だからこそ私は、両親をくした涯孤独の女として、彼と結婚したのです。
結婚を報告した、祖父は猛反対しました。
「あの男の目には、隠しきれない野と見栄がある。おを本当に幸せにはできない」
その言葉を振り切って、私はをました。
普通の幸せをに入れるために、自分の過を全て捨てたつもりでした。
けれど、祖父の言葉はしいほど正しかったのです。
健が独し、自分の会社をちげてから、彼はしずつ変わっていきました。帰りは遅くなり、休は接待のゴルフだと言ってを空けるようになりました。
義母の子と同居を始めてからは、態度はさらにひどくなりました。
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子は実の援助がない私を「何の役にもたない嫁」と呼び、毎のように嫌を言いました。
健はそれを見ても、子を注することはありませんでした。むしろ義母と緒になって、私をさく扱うようになったのです。
それでも私が黙って耐えてきたのは、ひとえに桜のためでした。
私自が両親をらずに育ったからこそ、桜から父親を奪いたくなかったのです。
いつかまた昔の優しい健に戻ってくれるかもしれない。
しい命がお腹に宿れば、また族でをつないで歩けるかもしれない。
そんなわずかな希望にすがり、私は唇を噛みしめて1で耐え続けてきました。
「私が愚かでした。族を守りたかっただけなのに、全て私のい込みだったんです」
私がぽつりとこぼすと、祖父は静かに温かいお茶の入った筒を渡してくれました。ほうじ茶のりが、え切ったをしずつ溶かしていきます。
「由美、おは何も違っていないよ。を信じようとする優しいは、くなったおのお母さんと同じだ」
祖父の言葉に、私は湯呑みを持つにしだけ力を入れました。
「ただね、由美。おは1つだけきな勘違いをしている」
祖父はそう言うと、隣の席から革張りのファイルを取りし、私の膝のにそっと置きました。
「勘違い、ですか」
「佐藤健の会社が最急に利益をげ始めた理由だ。おはあいつが自分の実力で成功したとっているだろう」