"孫が暴いた毒の食卓" 第8話
私はそのに崩れ落ちた。
警察官の1が駆け寄ってくる。
「丈夫ですか?」
「ええ……なんとか」
体は震えていたが、識ははっきりしていた。
おそらく、研究所の所が通報してくれたのだろう。私が1でに戻ることを危険だと判断し、警察へ連絡していたのだ。
に押さえつけられた国彦は叫んだ。
「俺は何もやってない!」
警察官は静に告げた。
「殺未遂の現犯で逮捕します」
国彦のに錠がかけられた。
その属音を聞いた瞬、私は胸の奥が静かになっていくのをじた。
ようやく正気に戻ったのか、国彦は突然態度を変えた。
「礼子、俺を助けてくれ。唯がくなって、どうかしてたんだ。分かるだろう?」
私は彼を見ろした。
かつて夫だった男。
私と庭を築き、息子を育て、孫を緒に守るはずだった男。
けれど、その男は私と陽太を殺そうとした。
「ちっとも分からないわ」
私の声は静かだった。
「あなたは罰を受けるべきよ」
「礼子、礼子!」
国彦は叫び続けた。
だが私は、もう振り返らなかった。
国彦はそのままパトカーに乗せられ、警察署へ連されていった。
警察での事聴取を終え、に帰ると、研究所の所と陽太が待っていてくれた。
「おばあちゃん!」
陽太は泣きそうな顔で私にび込んできた。
私はそのさな体を抱きしめた。
「無事でよかったです」
所が静かに言った。
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「陽太とあなたのおかげよ。本当にありがとう」
所は首を横に振った。
「私は何も。陽太君が気づいてくれたおかげです」
陽太は涙を拭きながら、しだけ得そうに笑った。
私はもう度、陽太をく抱きしめた。
もし陽太が気づいていなかったら。
もしあのドラマを見ていなかったら。
私は今頃、この世にいなかったかもしれない。
そううと、体の奥から震えが込みげた。
その、警察が国彦の作り置き料理を詳しく調べた。
すると、筑煮だけではなく、そのに作ってあったすべての料理から量の眠薬が検された。
治療量をはるかに超える量だったと聞き、私は改めて恐怖を覚えた。
国彦は、何もかけて私の命を狙っていた。
それも、良い夫の顔をしながら。
域のボランティアに参加し、所から信頼され、私を気遣う言葉をかけ、料理まで作ってくれていた。
その裏で、サプリメントに薬をまぶし、事に薬を混ぜ、私がしずつっていくのを見ていたのだ。
国彦は殺未遂で起訴され、その裁判がわれた。
裁判で国彦は精神鑑定を申請したが、結局認められなかった。犯は計画であり、も勝なものだと判断された。
そして、懲役刑が言い渡された。
国彦は刑務所へ送られた。
子は、国彦のもとを1度も訪れることはなかった。
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いつのにか料理教を辞め、れず町をていったという。
その、警察から聞いた話では、子は過に何度も結婚詐欺で訴えられていたらしい。男に額な品を貢がせては姿を消す常習犯だった。
そのことをった国彦は、刑務所のから何度も私にを送ってきた。
「俺が違っていた」
「もう度やり直してほしい」
「本当にしていたのは礼子だった」
そんな内容ばかりだった。
私は封をけずに処分したこともある。けてしまったも、すぐに読まずに燃やした。
命まで奪おうとしたの頼みなど、聞けるはずがなかった。
私は届いたをすべて焼却処分し、国彦とのいもしずつ理した。
写真。
旅先で買った置物。
結婚記に贈られた品。
すべてを度に捨てることはできなかったが、1つずつ放していった。
その、私は弁護士を通して国彦との婚を成させた。
財産分与として、の権利を私に譲るという誓約もかせた。
国彦から渡されていたサプリメントをやめ、料理も自分で作ったものだけをべるようになると、体調はしずつ良くなっていった。
朝、目覚めたのめまいが軽くなる。
のさがれる。
に力が戻る。
い、自分の体が壊れていくのだとっていた。
けれど、本当は壊されていたのだ。
その事実は、今でも胸を刺す。
それでも私は、きている。
陽太もきている。
それだけで、を向く理由には分だった。
体調が回復して働けるようになった私は、研究所の所の助けもあり、犯罪被害者のカウンセリングに携わることになった。
自分が被害者になったからこそ、分かる痛みがある。
突然、信じていたに裏切られた。
族ので傷つけられた。
誰にも言えない恐怖を抱えた。
私はそんなたちの話を、静かに聞くようになった。
最では、所の主婦仲たちと盆踊りの練習にも励んでいる。
体をかすたびに、しずつ自分のを取り戻している気がする。
陽太はまっすぐで優しい子に育ってくれている。
あの、救急を呼んで私を助けてくれた陽太は、今では将来、警察官になりたいと言っている。
「悪いから、誰かを守るんだ」
そう言って笑う陽太の顔を見るたび、私は胸がくなる。
唯と優の分まで、この子をそう。
この子がして笑える未来を守ろう。
そうに誓いながら、今も私は陽太のを握る。
国彦に壊されかけたは、もう終わった。
これからは、私と陽太のしいだ。
私はもう、誰かの嘘に黙ってみ込まれることはない。
さな孫が見つけてくれた真実を胸に、私は今も笑ってを向いている。
― 完 ―