"空っぽの珈琲サーバー" 第13話
追い詰められた達は、変装してマンションをようとしたらしい。
子を目にかぶり、マスクをつけ、なで玄関へ向かった。
しかし、それを見た奈美がった。
「待ちなさいよ。あんただけ逃げるつもりなの?」
奈美の声は、マンションの廊に響いたという。
「誰のせいでこんなことになったとっているのよ」
「俺だって被害者だ」
「ふざけないで。あんたが嘘をつき続けたからでしょう。私まで巻き込んで」
奈美は達の腕を掴んでさなかった。
「あんたも連れにしてやる」
達は困り果てた。
逃げを失った達が次に考えたのは、信じられないことだった。
私に助けを求めることだった。
そのの夜、私のスマートフォンに達からメッセージが届いた。
「のぞみ、久しぶりだな」
私は画面を見て、眉をひそめた。
続けて、もう1通。
「おの入れてくれるコーヒーが恋しくて忘れられない」
私はわずで笑った。
さらに、3通目。
「だから俺たち、やり直さないか」
あまりにも々しかった。
あの空っぽのコーヒーサーバーから全てが始まったというのに、達はまだコーヒーという言葉で私をかせるとっているらしい。
私はメッセージに返信しなかった。
代わりに、すでに記入していた婚届を封筒に入れた。
宛先は、奈美のマンション。
そこに達がいることは、報で分かっていた。
広告
翌、私はいメッセージを送った。
「達、婚届は見た? これが私の答えよ」
それ以、私は達からの連絡を受けなかった。
ブロックするに、最に1つだけった。
あのは最まで、自分が何を壊したのか分かっていないのだろう。
炎した達のYouTubeチャンネルは、しばらくして閉鎖された。
コメント欄は批判で埋まり、スポンサーのような話もすべて消えた。盲目のピアニストという肩きにしていた聴者たちは、裏切られたりを隠さなかった。
「もう演奏を聞きたくない」
「嘘で集めた再数だったんだ」
「族を犠牲にして得た気なんてがない」
達は収入源を失った。
それだけでは済まなかった。
本当は目が見えていたにもかかわらず、障害を受け取っていた疑いが持ちがり、正受として追及されることになった。続きや調査の詳細を私はくろうとはしなかったが、達が逃げを失っていくことだけは伝わってきた。
奈美も無傷ではいられなかった。
達と組み、診断を偽装した疑いがるみにたことで、医師としてのは崩れた。やがて医師免許を剥奪されたというらせが届いた。
「ああ、これまで私が積みげてきたタレントとしての実績が……」
奈美がそう嘆いていたと、ネット記事にはかれていた。
広告
けれど世は容赦しなかった。
レギュラー番組は板。
CM演も打ち切り。
清潔のある美女医としてテレビにていた奈美は、いつのにか画面から消えた。しばらくはネットで名を見かけることもあったが、やがて々の関は別の話題へ移り、しずつ忘れられていった。
達がそのどうなったのか、私は詳しくらない。
りたいともわなかった。
婚届が正式に受理された、私は役所をて、空を見げた。
がゆっくり流れていた。
かった。
本当にかった。
けれど、ようやく終わったのだとった。
方で、私たちの活はしずつ落ち着きを取り戻していった。
義母の瑞穂は、現、私の実で母と共に穏やかに過ごしている。
最初こそ慮していたが、同世代の母と気がったらしく、2はすぐに打ち解けた。昔の料理の話、子育ての話、所のの話。話題は尽きないようだった。
「のぞみさんのお母さんとは、本当に話がうのよ」
瑞穂は子に座ったまま、嬉しそうに言った。
「毎、誰かと話せるってありがたいわね」
以の瑞穂は、苛ちから細かいわがままを言うことがかった。けれど今は、表が柔らかくなっていた。
「お茶を自分で淹れられるようになりたいの」
「リハビリ、もうし頑張ってみるわ」
そんな向きな言葉も増えた。
ストレスが消えたことで元気を取り戻したのか、瑞穂はリハビリにも積極に取り組むようになった。