"田舎姑の一億円裁き" 第16話
自分が気づかなかった現の問題点。
社員たちの満や。
そして何より、母かよ子がいかに優れた経営者であったかを、嫌というほどいらされた。
かよ子は代表取締役を解任したも、しい経営陣を通じて確な指示をし、傾きかけた会社を驚くべき速さでて直していた。
その腕の鮮やかさに、健太は嫉妬を通り越して畏敬のすら抱くようになっていた。
ある夜、レナはの作業に1残っていた。
彼女は端切れの布に、さな模様を描いていた。
それは伝統な唐模様に、どこかモダンで幾何学な素を取り入れた斬なデザインだった。
誰に見せるでもなく、ただに浮かんだイメージを、で形にしていた。
その、背にの気配をじ、レナははっと振り返った。
そこにっていたのは、かよ子だった。
「何をしているの」
静かな問いに、レナは慌てて布を隠そうとした。
しかし、かよ子はそれを制し、彼女のからそっと布を受け取った。
かよ子はレナが描いた模様を、しばらく無言で見つめていた。
その沈黙が、レナには永のようにくじられた。
素が気なことを、と叱られるに違いない。
レナは固く目を閉じた。
しかし、かよ子のからたのは、予とはまったく違う言葉だった。
「面いわね、これ」
その声にはたさがなかった。
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純粋な作りとしての興と、かすかな賞賛のが滲んでいた。
「伝統に縛られすぎていない。けれど、その根底にはきちんと敬がじられる。あなたの性は、しいかもしれないわ」
レナは信じられない顔でかよ子を見げた。
かよ子は布をレナに返すと、静かに言った。
「レナさん。これを次の作の柄として使ってみましょう」
それは、レナがこのに来てから初めて受けた承認の言葉だった。
罰としてではなく、1のとして、その価値を認められた瞬だった。
レナの瞳から、1筋の涙がこぼれ落ちた。
それはいが終わり、ようやく訪れた解けをらせる温かい涙だった。
それから1というが流れた。
京都の、佐藤友禅には、かつてないほどの活気が満ちていた。
そのにいたのは、にもレナだった。
彼女がデザインした、伝統とモダンを融させたしい友禅のシリーズ「今の」は、国内で爆発な気を博した。
イタリアの名セレクトショップのバイヤーが、わざわざこのさなまでを運び、独占契約を申したほどだった。
レナはもはや職見習いではなかった。
かよ子から正式に企画発という役職を与えられ、その斬な性と、かつてコンサルタントとして培ったマーケティングの識を分に発揮していた。
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作務姿は変わらない。
しかしその表には、かつての傲さではなく、仕事に対するいと、自分ので何かをみす者だけが持つ自信が満ちていた。
職たちも今では彼女を「」と呼び、全幅の信頼を寄せている。
京のケンタテクノロジーズもまた、きく変わっていた。
平社員から再発した健太は、な努力を続け、しずつ社内での信頼を回復していった。
彼はもう2度と、見栄や驕りに流されることはなかった。
現の声を丁寧に拾いげ、堅実な事業計画をてる彼の姿に、しい経営陣も目置くようになっていた。
1、彼は規事業部のリーダーという責任あるポジションに返り咲いた。
それはかつての社という派な肩きではなかったが、彼にとっては、自分の力で掴み取った何物にも代えがたい誇りだった。
あるれたの、かよ子はレナと健太を、の奥にある特別な茶へ招いた。
そこはき夫が最も気に入っていた所だった。
久しぶりに顔をわせた健太とレナは、し照れくさそうに、それでも互いの変化を認めうような穏やかな線を交わしていた。
1の、あの憎しみっていた2とはまるで別のようだった。
かよ子は2のに、静かに1枚の真っな絹のを広げた。
点の曇りもない、最級の丹ちりめんだった。
「これは?」
健太が尋ねると、かよ子は優しく微笑んだ。