"田舎姑の一億円裁き" 第7話
松田弁護士のレポートで指摘されていた通り、彼らはを語っているが、その元はすでに崩れかけていた。
通りの説が終わると、健太がおずおずと切りした。
「それで母さん、もし能なら、5000万円ほど融資していただけないだろうか。この額があれば、確実にプロジェクトを軌に乗せられるんだ」
すかさずレナが付け加えた。
「もちろん正式な借用も作成いたしますわ。利息もさんよりしいくらいでお支払いしますので」
その言葉の端々に、「これだけしてやっているのだから謝しなさい」という傲さがにじんでいるのを、かよ子は見逃さなかった。
彼女はしばらく腕を組み、考え込むふりをした。
そしてゆっくり顔をげると、2の予をはるかに超える言葉をにした。
「5000万円。それではりないんじゃないかしら」
「え?」
2が同に声をげた。
かよ子は静に続けた。
「あなたたちの計画は素らしいわ。でも、これだけきな事業をかすには、測の事態に備えた予備資も必でしょう。それに優秀な材を確保するためには、もっとい報酬も用すべきだわ。私が見るに、なくとも1億円は必になるんじゃないかしら」
1億円。
その額に、健太とレナは息をのんだ。
彼らの顔には驚きと、それを隠しきれない欲なびが浮かんでいる。
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「い、1億……母さん、そんなを」
うろたえる健太を制するように、かよ子は静かに言った。
「ええ。ただし、条件があるわ」
2の顔が引き締まった。
「これは親子の甘えた貸し借りではないわ。あくまでビジネスとしての投資です。だから私も、リスクをヘッジさせてもらわなければならない」
かよ子はハンドバッグから1枚の類を取りした。
それは松田弁護士が事に作成した、株式譲渡担保付き融資契約だった。
「私が個として、あなたたちの会社に1億円を融資します。その代わり、この会社の株式の60%を、融資の担保として私に譲渡していただきたいの」
「株を、担保に?」
健太が怪訝な顔をする。
会社の経営権に関わる話だった。
しかしその隣で、レナの目がぎらりとった。
彼女はコンサルタントとして、この種の契約のを理解しているはずだった。だが、目のの1億円というが、静な判断力を麻痺させていた。
レナは健太の元に囁いた。
「丈夫よ。あくまで担保でしょう。おを返せば株は戻ってくるんだから、に名を貸すだけよ。こんなに良い条件、にはないわ」
その囁きは、健太の最のためらいを打ち砕いた。
「分かった、母さん。その条件をむよ」
かよ子のので、たい笑いが込みげた。
愚かな2。
彼らはこの契約にサインすることが、自分たちの首に絞首刑の縄をかけることと同じだとは、まったく気づいていない。
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返済が滞れば、担保である株式の所権は完全にかよ子のものとなる。
つまり会社の殺与奪の権を、彼女が握ることになるのだ。
契約へのサインは、そので滞りなくわれた。
健太とレナはをに入れることができるという興奮で、契約の細かな条項などろくに読んでいなかった。
彼らはかよ子を、は持っているがビジネスには疎い田舎の母親だと、完全に見くびっていた。
すべての続きを終えたかよ子は、ちがった。
「それじゃあ健太、頑張りなさいね」
優しく微笑み、オフィスをにする。
ビルをてたい都会のに吹かれながら、彼女は京都の松田弁護士に話を入れた。
「先、佐藤です。すべて計画通りにみました」
「そうですか。それは何よりです」
「担保の件、滞りなく」
「これで駒はすべて揃いましたね」
「ええ。これより第2段階へ移します」
話を切ったかよ子の元には、いつのにか笑みが浮かんでいた。
それはびの笑みではない。
復讐の種が完璧な形でに蒔かれたことへの、徹な満だった。
かよ子からの1億円という甘い蜜は、ケンタテクノロジーズに劇な変化をもたらした。
枯渇しかけていた資は潤沢になり、滞っていたプロジェクトは気に加速した。健太はを得た魚のように働き始め、業界内での評判もしずつがり始めた。