"クリニックの天才少女" 第13話
これがどれほどのものか、吉、分かっているのか?観察データと定量データを掛けわせた予防医療モデルなんて、うちの研究でも発がなかった。しかもこの統計処理の精度は、正直に言うぞ、うちの院よりだ。
私は笑った。翔太と同じことを言っている。
吉、共同研究をさせてくれないか。うちの学として正式にオファーをす。研究費もせる。これは論文にして世界に発信すべき内容だ。
教授が助成の額を告げた。私は受話器を持つが震えた。借 5000 万円を優に超える額だった。
話を切った、しばらく机を見つめていた。が震えていた。嬉しさだけではない。いや、嬉しさもある。でもそれ以に込みげてくるものがあった。
30 守ってきた所が消えずに済む。あの町のたちが「先、先」と通ってきてくれるこの所が、田のおばあちゃんも佐々のおじいさんも渡辺のおばちゃんも、みんなの居所が残る。
そのも話は鳴り続けた。レポートの噂を聞きつけたの学からも、県の研究関からも問いわせが相次いだ。
非詳しい話を聞かせて欲しい。共同研究の能性を検討したい。藤原クリニックの取り組みを学会で発表してもらえないか。
私は信じられないいで、次から次へとかかってくる話を受けた。
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古いデータと、おにぎりとペットボトルだけで 8 を過ごした 25 歳の女の子がいた 87 ページのレポートが、本の医学会をかし始めていた。
研究所助成と共同研究契約の話がまとまったのは、それからわずか 10 のことだった。複数の学からの助成をわせた額は、借 5000 万円を返済してなお余る額だった。
に連絡を入れた。全額返済の続きをしたい。
話の向こうで担当者が言葉を失っていた。藤原先、本当ですか?
本当だ。借が消える。融資の打ち切りもなくなる。廃業の危はった。
そのらせを聞いた、メイは待で掃除をしていた。いつもと同じように。
メイ。私が声をかけるとメイはモップを持ったまま振り向いた。借を完済できることになった。診療所は続けられる。
メイの目がきく見かれた。本当ですか?
本当だ。君のおかげだ。
メイのからモップがするりと落ちた。両でを覆ってそのにち尽くした。体が震えていた。お母さん。
さなつぶやきが聞こえた。お母さん、私、やったよ。もう何もできない自分じゃないよ。
メイはそのにしゃがみ込んで泣いた。声を殺してもこらえきれずに。
翔太が診察からびしてきた。親父、本当か?
ああ、本当だ。
翔太の顔にこの数ヶで初めて見る笑顔が広がった。
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せ子はカウンターの向こうで黙って涙を拭いていた。泣きながらでもどこか誇らしそうな顔をしていた。この所が残る、で守った所が。
そんな々が続いていた。あるの午、診療所のに見覚えのある黒い級セダンが止まった。黒田だった。あのと同じ、質のいいスーツ。しかし表が回とは違っていた。あのたい目つきが消え、代わりに張り付けたような笑顔を浮かべている。嫌な予がした。
藤原先、お久しぶりです。黒田はお辞儀をしながら入ってきた。回の傲さが嘘のように腰がい。
いやあ、先の診療所のご活躍、業界でも変評判ですよ。予防医療の画期モデルだとか、素らしいじゃないですか。
しらじらしい。回ここに来た、この男は何と言った?奥で患者のを握る医療、代遅れですよ。そう言ってで笑ったはずだ。
単刀直入に申しげます。黒田は姿勢を正した。まるで回と同じセリフ回しだ。ただし内容は百度違っていた。非セントラル医療と提携していただけませんか?先の予防医療モデルを弊社のネットワークで全国に展したいのです。
それだけではなかった。黒田はメイの方を見た。幸さんでしたか?あなたの才能は本当に素らしい。セントラル医療で研究部のポストをご用します。
報酬も相応のものを。
メイは黙ってっていた。表は穏やかだったが目は揺らいでいなかった。